東京オリンピックでは、中国選手団が38個の金メダルを獲得。首位の米国との金メダルの差はわずかにひとつだった。米国NBCは予想外の視聴率低下に悩んでいるとも言うが、中国では国を挙げての盛り上がりを見せていたらしい。
現地の報道は過熱気味だと、中国在住の人から聞いた。金メダルを獲った選手の地元に報道陣が押しかけ、取材をする。その映像の多くが都会ではなく、旧態依然とした中国の農村だったようだ。北京や上海などしか知らない人は、その映像を見て「これが21世紀の中国国内か」と驚いたという。
都会のエリート層の子供たちは、決してオリンピック選手になろうとなどしない。過酷な訓練はもちろん、金メダリストはいいけれどその他大勢は顧みられない社会だからだ。農村戸籍で、他に適当な「成り上がり手段」を持たない子供たちとその親だけが、一縷の望みをかけて競技にうち込んでいるわけだ。
中国の人口はまだ4億人 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
この記事に言う、9億人の農村戸籍の人達の生活実態は厳しい。多分その階層の出身なのだろう、14歳で高飛び込みで金メダルを獲った少女が「母親の治療費を稼ぎたい」とインタビューで応え、全中国人の涙を絞らせたと、この記事は言う。
「母の治療費稼ぎたい」全中国を泣かせた14歳少女が金メダル 実家は大混乱…報奨金申し出続出 | 東スポのスポーツ総合に関するニュースを掲載 (tokyo-sports.co.jp)
全国から寄付の申し出があり、両親はそれを辞退したという「美談」に仕立て上げられているが、少女の言葉だけが真実を伝えていると思う。もちろん寄付の申し出はあったろうし、理由は知らず両親がそれを断ったのも事実だろうが、全体のトーンはメディアかその背後にいる共産党によって歪められているのではないか。
「共産党結党100年」の後、すぐに北京オリンピックが来るというのも、習大人にとっては絶好の機会。逆に言うと、決して逃してはいけない機会だ。冬季のスポーツもこのような子供たちが過酷なトレーニングをして目指しているのかと思うと、正直心が痛む。
一部でボイコット論も出ている北京五輪、米国の商業主義とは別の意味で、悩ましい大会になりそうです。