先週、国交省の第四期技術基本計画(2017~2021年)のフォローなどについてご紹介した。では第五期技術基本計画(2022~2026年)はどうなっているのかというと、現在策定中とのこと。その方向性を聞くと、すでに3つの閣議決定があるとの答えが返ってきた。
何度か紹介している「次期サイバーセキュリティ戦略」、これは3年ごと見直しなのだが、ちょうど今年改定の年。この戦略見直しにも今年の初めから閣議決定が出ていて、その方向性に沿って今「骨子案」まで練り上げられている。国交省の技術基本計画も同様に、まず大きな方針の閣議決定から始まっているわけだ。ではその3つの閣議決定を見ていこう。
1)第六期科学技術・イノベーション基本計画(3/26閣議決定)
これは「Society5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策」で、3本の柱がある。
・国民の安全と安心を確保する、持続可能で強靭な社会への変革
・知のフロンティアを開拓し、価値創造の源泉となる研究力の強化
・一人一人の多様な幸せと課題への挑戦を実現する教育・人材育成
2)第五次社会資本整備重点計画(5/28閣議決定)
5年後メドの6つの短期目標(防災・減災、持続可能なインフラメンテ、暮らしやすい地域社会、経済循環を支える基盤、インフラ分野のDX、インフラ分野の脱炭素化)は第四期にも挙げられていたものだ。さらに中長期目標が3点ある。
・安全・安心の確保
・持続可能な地域社会の形成
・経済成長の実現
3)第二次交通政策基本計画(5/28閣議決定)
ここも3本の柱が挙げられている。
・誰もが、より快適で容易に移動できる、生活に不可欠な交通の維持・確保
・我が国の経済成長を支える、高機能で生産性の高い交通ネットワークシステムへの強化
・災害や疫病、事故など異常時にこそ、安全・安心が徹底的に確保された、持続可能でグリーンな交通の実現
文言としては、異論が出ないように、かなり神経を使って調整しているなとの印象だ。目立つのは「持続可能」や「脱炭素・グリーン」という単語。それらを実現するためのデジタル活用が、すべてのバックにあるようだ。
それにしても、社会資本整備=旧建設省、交通政策=旧運輸省なので、閣議決定まで同時に行われていることに感動しました。どちらが先になっても「禍根を残す」ということですかね。