Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

羹(アツモノ)に懲りてナマスを吹く

 Golden Week中のクルーズ旅行、楽しみにしておられた乗客も多かっただろうに、ひとりの「COVID-19」陽性者が出たことで、他の300名近い乗客も横浜港に引き返すことになってしまった。クルーズ船「飛鳥Ⅱ」の目的地は青森で、感染判明時すでに東北沖まで行っていたのだから目的地まで行けばよかったのにと(外野からは)思った。

 

 もちろん出港前にPCR検査は全乗客に行っていて、その時点ではかの患者も陰性だった。しかし乗船後の再検査で陽性が分かったという。ただ何度か申しあげているようにPCR検査に一定の誤差はつきもので、偽陽性だったかもしれない。乗客300名ということは、定員(約900名)の1/3であり、「密」を避けることはできたはずだ。船内で患者(と一応言っておくが)と濃厚接触者を隔離し、患者らの周りを消毒するなどして残りの航海を続けることは出来なかったのだろうか?

 

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 黒岩知事は「今回は1人の患者で収めることが出来ました」と誇らしげに語ったそうだが、ちょっとやりすぎではと思う。加えて「飛鳥Ⅱ」は、今月に予定していた4つのクルーズの中止も発表している。

 

郵船クルーズ、「飛鳥Ⅱ」のクルーズ3本を中止 神戸発着 - TRAICY(トライシー)

 

 さらに、全く感染者など出ていない「にっぽん丸」も連休の1週間の日本一周クルーズを中止、横浜港に戻りつつあるという。少なくとも特措法に基づく行政からの帰還命令がでたわけではなかろうに。

 

 憲法記念日NHKの特集番組で、憲法上の個人の自由と公益に関する議論があった。命令による休業などなら行政による「補償」があるのだが、お願いベースだったり周囲の目を気にしての休業では補償がなく「財産権の侵害」との指摘も出ていた。今回の郵船クルーズ飛鳥Ⅱ)や商船三井(にっぽん丸)の件は、乗客や運行会社に誰がどのように補償するのだろうか?

 

 昨年早春、日本で大騒ぎになったのがクルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」での感染拡大。ただあの時とはウイルスに対する知見も出来ていて、適切な対処は出来たはずだ。今回の件は、乗客が求めたのならともかく、行政が「羹に懲りてナマスを吹いた」としか思えませんね。