Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

成長戦略の中の中小企業

 菅政権の「成長戦略会議」は、前政権の「未来投資会議」を廃して設置されたもの。いずれも総理のブレーンという位置づけだが、安倍総理が自分の意志を貫くために使おうとしたのに対し、菅総理はあるべき施策に耳を傾けるために使っていると聞く。それは、特定の政策に正反対の意見を持つ人を配していることからも伺える。その一番の例が「中小企業政策」。

 

 日本の中小企業は生産性が低く成長性に乏しいとする元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏と、中小企業は日本の宝で大規模な雇用の受け皿だと擁護する日商の三村会頭が同席している。最初の会合でこのお二人、さっそく軽くジャブを撃ち合ったのだが、今般本格的なパンチの応酬をしたらしい。

 

https://news.livedoor.com/article/detail/19251017/

 

 お二人とも立場の違いもあって持論を展開されているのだが、僕から見れば「どちらも正解」である。中小企業と言う言葉の定義にもよるが、これに該当する企業は日本中に数万社ある。そのうちの多くは大企業より生産性は低いだろうし、そのうちには「宝」のような何かを持っている企業もある。

 

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 まず生産性だが、どんな企業でもしなくてはいけないことがある。法規で決まっている経理・会計、労働者管理、税務や監査などだ。これらは本来同一でいい部分が大きいのだが、個社で個別にシステムを作り込んでいる。これを一元化(クラウド)して数百社束ねてしまえばいい。総務部長や経理部長もその数百社で一人にできる。

 

 「そんなことしたら俺の裏金が作れない」

 

 などと訴える社長がいたら、逮捕してしまえばいい。同業のどこかが社長以外を吸収合併してくれるから、アトキンソン氏の言う再編も進む。一方でその企業独自のところ(開発なのか匠の製造なのか)はちゃんと維持され、三村会頭の言う「宝」は守れる。

 

 ITシステムのSIerを見た経験からすると、年商300憶円くらいの中堅企業までなら、大手のSIerは苦労することなくビジネスにできる。これが100憶円くらいになると売り上げの割にオーバーヘッドが大きくなって苦しくなる。だから50憶円くらいの企業だったら10社集めて同一システムにするなら、立派に成し遂げられるのだ。

 

 アトキンソン氏と三村会頭の意見を双方容れて、中小企業改革をするならここからだと思います。いかがでしょうか?