Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ソースコード強制開示は残った

 世界の自由貿易にとっては、久々の良いニュースというべきだろう。このところWTOの機能鈍化(米国が上級委員選出を妨害しているからだが)や、各所で保護貿易の動きが出ている中で、RCEP(東アジア地域包括貿易協定)が署名の運びになったことを歓迎する。何度か紹介しているように、僕自身2度RCEPの公式会合に参加しデジタル分野の市場開放を求めてきた。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66249440V11C20A1I00000/

 

 それが当初の目論見である ASEAN+6ではなく、インドが抜けて+5になったとはいえ自由貿易に向けて一歩前進したことは間違いがない。さて問題はその中身だが、デジタル分野ではTPPを越えるものを最初は標榜していた。つまり、

 

◆TPP電子商取引の章で、データの越境流通の確保・サーバー設置の強制禁止・ソースコード開示の強制禁止としていることは取り入れる。

◆同章で、金融分野や行政分野の一部を除くとしている注記は削除する。

◆そもそもデジタル貿易は電子商取引に留まらない。デジタルで別章を立てるべき。

 

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 と考えていた。これは TiSAなど別の場でも僕らデジタル屋が主張したこと。先日も外務省の人と意見交換してこの主張を繰り返したのだが、「TPPは尊重しますが、相手は中国なのでね」と言葉を濁していた。だからTPPより少し後退すると覚悟はしていた。その結果だが、

 

・データの越境流通の確保

・サーバーの(国内)設置の強制禁止

 

 は「電子商取引章」に入ったようだ。落ちたのが「ソースコード開示の強制禁止」の項目。「Great Fire Wall」のある中国に対して、昨年安倍政権が掲げた「DATA Free Flows with TRUST」を呑ませて流通確保したのは立派だが、その代償としてソースコードを譲ったような気がする。

 

 これで従来通り、中国にデジタル製品を輸出したりデジタルサービスをしようとする外国企業は、そのコア部分であるソースコードを当局に見せることを迫られる。その結果中国国内で他の企業によって同様の製品が作られたり、サービスが提供される事態を招きかねない。

 

 そのリスクを負って14億人の市場を目指すのかどうか、外国のデジタル(特にサービス)企業にとっては、今まで同様悩むことになるでしょう。