Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

熱海の骨董屋

 熱海駅から繁華街である熱海銀座の方になだらかな坂を下りてくると、途中に「大江戸温泉」がある。昔は由緒正しい「南明ホテル」という老舗旅館だったのだが、10年ほど前につぶれて居ぬきの形で新興チェーンのホテルになった。20年以上前、両親を連れて「南明ホテル」宿泊した時、母親が「立派なお茶碗ですね」と食器をほめた。意味は「サービスや料理はそこそこなのに、食器だけは一流だ」ということ。

 

 「大江戸温泉」の道路を挟んだ向かいには、「咲見町ハイツ」という古いリゾートマンションがある。多分築50年にはなるだろう、巨大マンションだ。その1階部分は道路に面しているから、多くの店舗が入っている。先日紹介したイタリアンレストランが早々につぶれた場所も、このマンションの1階部分だ。もちろん流行っている老舗も入っていて、以前紹介した「壱番」という中華料理店は、お値段を含めて相当有名。なかなか予約がとれないらしい。

 

        f:id:nicky-akira:20190721091204j:plain

 

 そんな「咲見町ハイツ商店街」に、5年ほど前にOpenしたのが、「おのぶ」という骨董屋。夕方早くには店じまいするし、雨が降るとお休みという「お殿様営業」なのだが、ずっと続いている。何人かの高齢の女性が店で働いていて、このうちの一人が「おのぶさん」なのだろう。

 

 写真にあるように巨大な中華風の壺を狛犬のように配して、ビー玉、茶釜、扇子、十手、日本刀などが並んでいる。奥に入ったことはないが、鎧・兜くらいはあるのかもしれないと思わせる雰囲気だ。面白かったのは十手。時代劇の捕り物に使われる携帯用の武器だが何本か飾ってあって、1本ソリがあるものがあった。

 

 日本刀はなで斬りにするためソリ(湾曲)があって外国人は、Sord(剣)とは言わずScimitar(半月刀)に分類する。しかし十手は本来は直線的な剣と同様、ぶっ叩くもの。ソリがあっても刃がないので斬ることはできない。まあ、多分これはまがいものなのだろう。

 

 ところでどうしてこの街で骨董屋なる商売が成り立つかと言うと、供給源が多いから。冒頭述べたような老舗旅館の倒産などあれば膨大な調度品が出てくるし、個人の家でも代替わりしたり廃屋になったりすれば、いにしえのお宝が行き場所を失うからだ。僕も「断捨離」とまでは言わないまでも、徐々に持ち物を減らしていこうとしているので、これらの品を買うことはないのだが、たまに見るのは面白いですよ。