このところの米中デッカプリングはエスカレートし続けていて、この1週間だけでも様々な動きがあった。
・中国は、欧米がHuaweiを排除するなら、NokiaやEricsonに報復すると声明。
・米国がワクチン情報を狙ったとして、中国人2人を(域外)起訴。
・英国が香港との容疑者引き渡し条約を破棄。
加えて昨日は2つの大きな「事件」があった。まず米国政府が、ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を求めたというニュース。ある議員は「外交機関ではなくスパイの巣窟のようなもの」と非難していたし、政府報道官も閉鎖を求めた理由を、米国の知的資産や市民の個人情報を守るためとしている。これに対し中国政府は激怒、武漢にある米国総領事館の閉鎖を求める報復をする可能性がある。
もう一つは、中国の新法「データセキュリティ法」。中国のデータの取り扱いに関する包括的な法律だ。重要データの目録化などデータの統治体制を構築するのが目的。データの改ざんなどはもちろん、通常の収集や利用という行為でも「中国の国家安全や公共の利益を脅かす」と判断されれば、域外の外国人(企業含む)も罰則の対象となってしまう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61883120S0A720C2MM8000/
まだ見えているのは法案だけで、どのような行為が「違反」にあたるのか、基準はどうなのかな分からない。場合によっては中国国内で消費者アンケートをとり、それを利用して在庫調整をしても逮捕されかねない。
さらによく分からないのが、「中国に差別的な措置をとった国に対して対抗措置をとる」としている点。米中対立が背景で英米などを念頭に置いていることは分かるが、いつ日本・日本企業に飛び火するか分からない。
中国にはもともと「Great Fire Wall」があって、自由なデータの持ち出しが出来ない。しかし日本で活動する中国企業が日本からデータを持ち出すことは可能だ。これを不公平とする意見はあって、例えば中国版U-berの「滴滴」に持ち出し禁止措置をしたとする。これを「差別的な措置」として、日本企業の中国国内での活動停止となるかもしれない。
米中デカップリングは、データ規制で決定的になりそうな気配ですね。データ覇権争いがより鮮明になりました。