Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国家緊急権を巡る論争(前編)

 当初、緊急事態宣言の期限は今月6日だった。それが今月末まで延び、特定警戒都道府県では、従来通りに「自粛」が求められた。多くの店舗では「自粛と補償はセットであってほしい」とか「店舗への協力金が現状では足りない」などの不満は噴き出したものの、おおむね行政の要求に従っている。

 

 ただ、顕著に叛旗を翻したのがパチンコ業界。東京都や大阪府の要請が指示に、さらに店名公表までしてもどこ吹く風と営業している。なにしろ「自粛」で時間の余っている人はあふれている。中には特別定額給付金を銀行で引き下ろし、そのままパチンコ店に駆け込む人もいるらしい。お店は大繁盛、常連客が「混んでいていい席がとれない」となげく始末である。

 

 現在のところパチンコ店でのクラスターは確認されていないが、もしこれがきっかけで第二波が襲い、その結果として経済停滞がさらに2カ月続くとしたら業界の責任は大きいといえよう。

 

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 そんな危惧もあって、欧米のように強制力のある店舗閉鎖ができないかという議論は当然出てくる。行政の答えは簡単で「現状ではそれを可能にする法律がない」ということ。ファナティックな人の中には「じゃあ、法律作れよ」という声も出るだろう。このあたり、20年ほど前に「有事法制論」をしたときに経験したことである。

 

 当時のリスクは外国からの武力侵攻、憲法9条により戦力を持たない日本がどうやって国民・国土・資産を守るかという話だった。結果は、2003年制定の「武力事態対処法」になって表れた。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/04/22/000000

 

 ただこの法律も、武力事態に対しどこまで国民の主権を制限できるかなど肝心な部分はボカされたまま。さらに今回の「コロナ禍」は前提が違うので、もちろん適用できない。そこで日本維新の会からは「憲法に緊急事態条項を入れる改正を」という声が挙がった。もちろん改憲勢力である自由民主党も(全派閥ではないが)同様の考えを持っている。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050700358&g=pol

 

 これに対し立憲民主党共産党らからは「どさくさまぎれの憲法改正、絶対反対」との反撃があって国会論争が盛んになりそうな予感がする。

 

<続く>