Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

老言語は死なず、消え去りもせず

 「コロナ禍」による人的被害が世界で一番多くなってしまった米国。トランプ先生は早期に経済立て直しをしようと「三段階の経済再開への指針」を示したが、経済規模の大きな州の知事たちは慎重な姿勢を示している。ニューヨーク州のクオモ知事などは「米国にKingは要らない」とトランプ先生を批判している。

 

 トランプ先生の焦りも理解できるのは、失業者の急増が起きていること。下記の記事では1,600万人余りというが、別報では失業手当申請は2,200万人増えたともいう。その結果、申請システムがクラッシュして混乱をきたしている。今の感覚では「すぐにクラウドサーバーの増設をして、数時間で回復・・・」となるのだが、レガシーシステムなのでそう簡単にはいかない。

 

https://news.nicovideo.jp/watch/nw7054929

 

 システムがCOBOLという古い言語で書かれているから、その言語を使える技術者を探し書き直さないといけないのだ。失業手当申請システムだけでなく米国には多くのシステムで、この「老言語」が生きているとある。銀行システムの、43~95%がいまだにCOBOLだという。米国のATMはただお金を吐き出すだけの単機能だから、数十年機能強化など必要なく放っておかれているのだろう。

 

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 日本でも「みずほ銀行」の3行システム統合はなかなか決着せず、「IT界のサグラダファミリア」と揶揄されたこともあった。24時間稼働している社会インフラの更新は難しく、どうしても先送りにしてしまう傾向にある。それでも60年前の言語に頼りすぎなのも事実、「COBOL Cowboys」などというベテラン技術者を集めた企業もできているし、IBMCOBOL技術者を求人しているともいう。

 

 45年前、僕は大学の情報工学科に入学した。COBOLを含む老言語の演習もあったが、ビジネス分野で使われることの多いCOBOLには興味がわかず、科学技術計算用のFortranアルゴリズムが分かりやすいAlgolが得意だった。社会人になってからもCOBOLを使う仕事はしていない。

 

 懐かしい思いでこの話を聞いたものの、さすがに引退させてあげないといけないだろうと思う。人工知能(AI)の進歩が著しいのだから、COBOLのソースプログラムを与えて最新のプログラムに書き直させることくらいできそうな気がするのですが。