Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

緊急経済対策の難しさ

 遅すぎたとは言うものの、とうとう「緊急事態宣言」が7都府県に発令された。同時に「緊急経済対策」も大きな項目が発表された。以前から議論が重ねられてきた個人への現金給付については、割合細かな点まで分かってきた。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040600345&g=pol

 

 すでに多くの人(税務の専門家、知事経験者、弱者支援のNPO・・・)が、一世帯30万円・所得制限あり・収入半減の証明要という条件では、給付対象が限定されすぎだし行政手続きが煩雑すぎると異論を述べている。

 

 東京23区居住の単身者で年収100万円以下という条件は、僕の感覚では生活保護レベルの貧困だ。緊急経済対策ではなく、貧困対策でやるべき支援だろう。収入半減の証明も難しい。年収が半減したことが分かるのは1年後ではないか。

 

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 すでに雇用調整助成金を申請するのに11種類もの書類を要求されて、「心が折れた」という事業者もいた。生活保護同様「行政は払いたくない・制限したいという態度がありありと見える」との批判が出ている。「緊急経済対策」にあるフリーランス・個人事業者・零細事業者らへの最大200万円給付についても、今後同じ問題が出てくるだろう。

 

 まずは給付が必要な人のところにお金が迅速に届くことだが、すでに何度かご紹介したように、容易ではない。今回の件はもう手の打ちようがない気がするが、次回以降困窮した人への迅速な支援のために提案できることがある。それはマイナンバー&カードの活用である。

 

 給付がスムーズにいかない原因は、個人の所得を十分行政が把握できていないことにある。本来その目的で導入したマイナンバーシステムだから、これを十二分に活用すべきだ。だから把握できる範囲を広げていかなければいけない。

 

生活保護の需給に、マイナンバーカード所有を条件とする。

・カード上の決済アプリ(例えばマイナポイント)を利用する。

・需給条件をシステムで自動判定、給付金は迅速にカードに振り込まれる。

・給付金だけではなく全市民の収入を把握し、公開する方向にもっていく。

 

 以前電子政府の視察に行った北欧の国では、市民の年収までが公開されていました。誰が幾らもらっているかが全部明白なら、最初はショックでもいずれそれが普通になって「分断」が起きにくくなります。今回を奇禍として、ご検討願えないでしょうか。