リビアという国の報道を聞いたのは、本当に久しぶりだ。かつてはカダフィ大佐(元首になっても大佐のまま昇進しなかった)の独裁政権が続いていて、米国らに敵対していたのだがその命運も2011年に尽きた。その後、僕はこの地に大規模太陽光/熱発電施設を作って、地中海を縦断する海底ケーブルで欧州に電力を送る計画くらいしか、ニュースを聞いていなかった。
https://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/200118/wor20011817490012-n1.html
この記事によると、リビアは実質的に内戦状態。暫定政権と反政府勢力が対立していて、後者にはロシアが肩入れしている。前者には欧米諸国が支援するのかと思いきや、本気で援助しているのはトルコの(これも強面の)エルドアン政権だけらしい。産経新聞の記事は、イスラエル沖の天然ガス田からギリシア・イタリアへと計画されているパイプラインを阻止するトルコの意図を報道している。
あらためて地図を見て、リビアとトルコが近いという印象を持った。またこの記事に言うキプロスやクレタという島についても、ある意味懐かしさを覚えた。というのもこの東地中海という領域は、第二次欧州大戦の重要な舞台となったところだから。
大戦が始まったとき、リビアはイタリアの植民地で枢軸側、隣のエジプトとキプロス島は英国領で連合側。クレタ島はギリシア領で中立、のちにドイツ軍が侵攻して枢軸側に占領される。これらの北に位置するトルコは潜在的に枢軸側だったが、最後まで参戦せず中立を守った。
リビアに駐留していたイタリア軍はエジプトに侵攻するが、一握りの英軍に蹴散らされてしまう。イタリア(の権威)を守るために北アフリカ戦線にヒトラーが送ったのが、有名なロンメル将軍と2.5個師団だった。
僕がシミュレーションゲームで枢軸側を持ってこの地域を戦う時は、キプロス島がカギだと思って必ず侵攻する。ここに航空基地を設ければ、エジプトの英国艦隊を含め東地中海を制圧できるのだ。そんなことを思い出しながら、エルドアンのリビア・トルコ(枢軸?)ライン構想を見ていた。
ちなみにキプロス島はトルコ系・ギリシア系住民の対立が激しく、北キプロス(トルコ系)が独立宣言をして分裂状態。エルドアン先生は、この島も欲しがるでしょうね。