Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インターネット遮断実験

 ロシアで首相が交代し、憲法改正が噂されている。現行憲法下では2024年になると、プーチン大統領に任期が切れてしまう。かつては一旦首相になって実質権力を維持したが。今度も同じ手段を使うのか、憲法改正して大統領を続けるのか、表舞台からは退いて「院政」を敷くのかといろいろな予測が飛びかっている。

 

https://wired.jp/2020/01/16/russia-internet-control-disconnect-censorship/

 

 そんな中、ロシアが「インターネットの遮断実験」を終了したとの報道があった。中国の「Great Fire Wall」が有名だが、インターネットを検閲して有害なものが無辜の人民に届かないようにしたり、外国企業などが情報を持ち出さないようにしている。検閲部隊は国内でも「活躍」し、新型ウィルスによる被害に関する書き込みなどを選別して消しているようだ。

 

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 いわゆる「Free Flows of DATA」を標榜する僕らには困った国なのだが、中国ほど厚い壁を立てているわけではないにしても、ロシアもそちらの陣営にいる。ただ100万人の人民解放軍が検閲するほどのコストはかけられないロシア、どうするのだろうと思っていたら始めたのが「ロシア独自のインターネット」を開発することだった。

 

 すでに「ロシア版のウィキペディア」を作っているようだし、独自にデータの蓄積を始めている。いますぐに世界のインターネットから「鎖国」する意思はないようだが、いざとなればネット上の国境を閉じられることは、国家安全保障上の大きな進歩だ。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/04/24/140000

 

 というのは上記の記事で紹介したように、米国が有事に敵国の「Domain Name Server:DNS」を無効にして混乱させる手段を持っていると疑われるからだ。現実にロシア政府は今回の遮断実験を「サイバーセキュリティ上の政策」と公表している。

 

 しかしアクセスできる情報量は個人にも企業にも国家にも、その能力に大きな影響を及ぼす。平時の経済と非常時の安全保障のバランス、それを考えてのこの実験。非常時でも最小限のデジタル活用はできるようにとのプーチン先生の戦略ですね。