Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

戦略兵器と化したDNS

インターネットの運営には非常に多くの仕組みや事業者が関与していて、それらが機能停止するとインターネットのある部分がごっそり止まってしまうことはありうる。2017年8月、日本では大規模な障害が発生し、モバイルSUICA楽天証券、LINEなどのサービスができなくなった。後に総務省が検証結果を報告しているが、原因はGoogleの経路情報設定のミス、人為的なミスだったとされている。

 インターネット経済は、単純にプラットフォームとアプリケーションという具合にはくくれない。いろいろなサービス主体が相互に情報を交換し合いながら全体として最終利用者にサービスを提供している。その一角が止まる、もしくは誤動作することで全体がおかしくなることも十分ありうる。しかしそんな中でも、絶対に止まってもらっては困る機能というのは存在する。そのひとつが、DNS(Domain Name Server)である。

 メールを打つとかサイトを見るとき、アドレスの末尾に .jp などとついているのが、日本のアドレスであることを示す Domain Name である。インターネット上の住所とも言えるこの符号を管理しているのが、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)というNPO。多くの関連企業が役員・会員を務め、DNSを管理する重要な組織である。ところが昨今、DNSへのサイバー攻撃が増えているという記事があった。

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https://wired.jp/2019/04/18/sea-turtle-dns-hijacking/ 

 DNSが乗っ取られて、例えば .jp のついたアドレスを全部無効にしてしまったら、日本社会にどんな影響があるかは想像いただけると思う。上記のGoogleの設定ミスでも大きな影響を被ったのだが、その比ではない被害を日本経済いや社会全体が受けることになるだろう。いわば日本をまるごと締め上げるような行為だし、これが敵性国家によって成されるならミサイルを撃ってきたのと同じことではないかとすら思う。

 インターネットが生まれたのはアメリカで、今でもDNSの多くはアメリカにあるのではないかと思う。ICANNという組織はそんなことはしないとしても、米国の軍隊がDNSのデーターセンターを急襲して敵性国家のDNSをとめてしまうこともありうると思っていた。現にこれを怖れたロシアは自前のDNSの運用実験をしているとのうわさもある。すでに戦略兵器のようにになってしまったDNS、ちゃんと守ってくださいね。