新法「DPF取引透明化法案」の要点は次の4点。
・取引条件等の情報の開示
・運営における公平性の確保(手続き・体制整備、不当行為の禁止)
・特定DPF事業者のレポート、モニタリングレビュー
・法の適用執行
ポイントは3点目の、レポート&レビューにあるようだ。「特定」された事業者は監督官庁に適正運用していることを報告し、レビューを受ける義務が発生する。それでまずいことがあると、4点目の「法の適用執行」・・・つまり処分されてしまうわけ。なるほどこれは大変だと思ったのか、いわゆる「GAFA(+M)」と呼ばれる企業はじめ、異論が相次いだ。
まず「特定」って何なんだよとの質問には、政府側は「大規模オンラインモール・アプリストア」を考えていると回答。DPFそのものは
・ネットワーク効果があること
・多面市場であること
・インターネットを通じたサービスであること
という定義で、これなら多くの企業が該当する。そこに「特に取引の透明性・公平性を高める必要性の高いもの」と付け加えられているが、あいまいでいつ自社が「必要性の高い」範疇に入れられるかわからない。加えて主務大臣は誰なんだっけというと、
「取引に関するルール整備を所管する経済産業省が中心」
との答え。これにも多くの企業が反発した。
・例えばFinTech市場に広がったら、金融庁・経産省どっちが上になる?
というわけ。経団連の当該部会を束ねている部会長さんたちも、口をそろえて法案自身の不透明性を訴えていた。行政としては、オンラインモール市場(9兆円、事業者100万社)、アプリ市場(1.7兆円、事業者70万社)で、特定のDPFに依存して従属関係になっている事業者を守りたいという。しかし独禁法ではだけなのという問いに、「独禁法の範囲を少し広げて・・・」という答えがあり、これは行政間の縄張り争いではないかと疑う企業もいた。
これはまれにみる「スジ悪法案」ですね。デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めなさいと言っておきながら、こんなカセをはめて進歩の芽を摘もうとする動きには賛同できません。さっさと廃案にしてもらえるよう、通常国会にはお願いしたいです。