デジタル経済の急速な発展と従来市場への浸食が進んでいて、従来のルールではうまくさばけないことが増えてきたのは確かである。僕は「データ窃盗という罪状が存在しない」ことが、最も急を要する対処すべきことだと思う。ただどうもそういう意見は少数派のようで、今回取り上げたいのは、「デジタル市場のルール整備」を内閣官房で検討している人たちの話。
英国の競争・市場庁は、GoogleとFacebookがオンライン広告での影響力を持ちすぎているとして規制強化をする方向で動き出したとの記事があった。
https://jp.reuters.com/article/britain-digital-investigation-idJPKBN1YN03C
日本でもこれに似た動きがあり、
・日本のデジタル広告は、2018年度前年比16.5%増の1.7兆円に伸びた。
注)日本の広告市場は、約6.5兆円
・デジタル広告市場の56%をGoogleとFacebookが占めている。
・いわゆる「ターゲティング広告」を不快に思う人は5割を超えている。
のような背景で規制強化の議論が起きている。
これに関連した話で、今年の通常国会には「デジタルプラットフォーマー(DPF)取引透明化法案」が提出されるという。一体どんなものなんだっけ?と、内閣官房の本件担当事務局が経団連に説明してくれる場があったので行ってみた。
例示されていたのはオンラインショッピングモール。DPFが場を用意し、売りたい側と買いたい側が出会って取引を成立させるというもの。利用者から、
・手数料が一方的に引き上げられる。
・返品を受け付けてくれない。
・DPFに近い事業者をえこひいきしている。
・DPF自身が同種の商品を後追い的に市場に投入。
などの苦情があるという。最後の点などはデータ活用の典型例だが、もちろん利用者にとってプラットフォーマーはフェアであるべきで、訴えの通りなら「データの悪用」事例と言える。市場占有率が高いことから、DPFの権限は強まっている。しかし「優越的地位の乱用」ならば、現行の独占禁止法でも摘発できるはずだ。新法を作らなくてはいけない理由は、まだこの時点では理解できなかった。
<続く>