今週は国際会議が目白押し、例によって英語脳ならぬ英語悩の出番である。その皮切りが、慶應三田キャンパスで開催される「EU-Japan Cyber Workshop」である。サイバー空間に国境はないし、ヨーロッパと日本は遠く離れているといってもその距離はリスクを隔てるものではない。
だからデジタル経済の発展を願い、自由主義・資本主義陣営にあり、データ流通の自由を支持するもの同士として、協力関係にあるべきだという考えは全く正しい。双方には個人情報保護の考え方などに違いはあったのだが、3年ほど前に日欧EPAが締結されてその差異は縮まっている。
両者に共通の脅威となっているのが、サイバー攻撃。特に国かそれに近い組織による攻撃については、喫緊の課題である。またサイバー空間における犯罪の増加も、それに次ぐ脅威だ。ここに両者の関係者が集まって、
・共通の懸念事項
・懸念に対し、共に達成しようとするGoal
・一緒に対処できること
・協力できること、共に挑戦すべきこと
を議論しようというものである。会合の場所はキャンパスの東門にあたる建物「東館」の最上階である。門がそのまま大きな建造物になった造りだ。最上階の部屋はステンドグラスの入った天井の高いもので、荘厳な雰囲気もある。ここに日欧の論客約50名が集まった。日欧おおむね半分くらいの比率、男女比は6対4くらいか。出席者の女性が、「なかなかいいダイバーシティだ」とつぶやいた。
セッション毎に日欧のプレゼンテータが一人ずつ持論を述べるが、それで終わりではない。付近の人たちとチームを作って議論し、その結果を報告する形態である。日本人の中で、一番英語が下手な僕にとっては苦痛の時間だ。それでも言いたいことは言うことにして、ブロークンに話した。
最初の組み合わせで一緒だったのはハンガリーの女性、ちょっと英語が苦手のようだが東欧らしくロシアの脅威を訴えていた。次の組ではイギリスの男性、さらに次はアイルランドの女性・・・とほぼ1日苦難は続いた。
いい経験だったのだが、ちょっと残念なのは欧州側の企業人がほとんどいなかったこと。政府やその外郭、シンクタンク、大学などの人がほとんどで、本当に日欧の産業界同士が議論するには至らなかった。似たような会合は明日もあります。そちらはどうでしょうか?