Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

Biebrich城への旅(2)

 秋が深いとはいえ、この日はすっきり晴れ渡った好天、公園には鳥のさえずりや羽音がする。リスと思しき小動物が、落ち葉の積もった地面を駆け抜けていく。人気はほとんどないが、散歩する人、ジョギングする人、自転車の人がときおり通る。

 
 道路を清掃する車や、植木を積んだガーデンメンテナンスの人たちの車も見かけた。これだけ広いと落ち葉の量も半端ではあるまい。集める労力も相当なものだろう。落ち葉はやはり有機肥料にするのだろうか・・・などとのんきなことを考えながら、北へ歩いていくと池にでた。

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 池の脇には古い建物、多分北の城門の一部だろう。造りはかなり古く、ローマ時代の遺跡と言われたら納得しそうだ。あるいはそれを真似て後世作られたのだろう、厳めしく池を見下ろしている。池とその周辺では多くの水鳥が、泳いだり羽を繕ったりしている。これはすごい市民の資産なのだが、メンテナンスに費用がかかることも事実である。入場無料だし特に観光収入があるとも思えないのだが、純粋に公的資金によって賄われているのだろうか?

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 池のところでUターンし、今度は南へ向かって来た道の隣の、小川沿いの道を歩く。カエルその他の小動物もいるはずだが、もう冬眠してしまったのだろうか見当たらない。公園内を歩くこと約30分、ライン川沿いの城館が見えてきた。以前訪れたHochst城は、高い見張り塔にニーダ川マイン川の合流点を見下ろす広いテラスがあって、明らかに川の交通に対して威圧して収税するための「城」だった。今日のこのBiebrich城の城館は、それとは違う造りをしている。
 
 ライン川に接しているのが確かだが、城壁らしきものはほとんどない。見張り塔も弓兵を配置するようなテラスもない。もちろん戦闘用のものではなく、恐らくは王か大公の別荘だったのだろう。ドイツの中の比較なら温暖な地域でもあるし、南向きで川の反射の光にも恵まれているから、冬の離宮だったのかもしれない。
 
 城館の建物は最近修復がされたのかすごく綺麗だが、逆に風情はあまりない。古城好きの僕としては、ツタに覆われたり銃弾の痕が残るようなものが好みなのだが。
 
<続く>