バスが天城峠を越えると、そこからは下り坂。全くの山岳地帯から、徐々に平地が増えてくる。道の両側には、わさび田が目立つ。湯ヶ島温泉入り口のバス停でおりて、徒歩5分ほどで「水のみち風のみち湯ヶ島たつた」に到着。
猫越川沿いに立つ、地上6階地下1階の和風旅館。フロントは5階にあり、部屋数は20ほど。古い旅館をリニューアルし、外国人にも向く仕様にしたという。実際外国人の宿泊客も多く、肌感覚では半分くらいは外国人客だった。
川に張り出して見えるのが、地下1階のテラスレストラン。いわゆる「川床」。狩野川に猫越川が合流する付近には「湯道」という古道があって、整備されているので散策にとても良い。木が茂って日差しが強くないのと、流れる水のクーラー効果で実に気持ちがいい。
大浴場のほか、4つの貸し切り風呂があるが、予約制ではなく使用状態がインターネットで確認できる仕掛け。部屋のガイドには、外国人向けの「日本旅館の留意点」が挟んであった。源泉温度は47度ほど、泉質はPH7.7くらい。弱アルカリ性である。
夕食は6時から、まさに手の届くところに清流が流れている。鳥のさえずりとともに川音が聞こえ、まだ陽は残っているが涼しく感じる。一人用の鍋は鶏肉と野菜が入っていて、これに山盛りのすりおろし大根とすりおろしワサビを入れて煮立てる。もちろんお造り用のワサビは、自分で直前にすりおろす新鮮さ。
地元のクラフトビールを頼んで乾杯、手の込んだ前菜をいただいているうちに空いてしまったので、追加で白ワイン(ミュスカデ)を貰う。お造りの中のアマゴがさっぱりとした美味、ワサビが主役のようにも思う。山盛りのワサビを入れた鍋のスープは、とても滋味深い味。市販のチューブ1本分ほど入れたのに、辛くない。
陽が陰って来たころ、アユの塩焼きと茶碗蒸しが到着。残った白ワインは家内に任せて、僕は日本酒を1本注文。アユは、頭から尻尾まで食べることができる。はらわたの苦味と、強めの塩がベストマッチした。〆はアユの炊き込みご飯だった。お腹いっぱいになったので、デザートはテイクアウトさせてもらって部屋に引き揚げた。そして、早々に就寝・・・。
<続く>