Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

尾張一の神社(後編)

 この街も、いわゆるドーナツ化現象が起きている。鉄道駅前の目抜き通りだったところは寂れていて、大型店舗は郊外にあるのだろう。この街は、名神高速道路はじめ多くの主要道路が郊外を走り抜けている。1時間あたり6本ほどの列車が走るJR東海道線と、当地の私鉄である名古屋鉄道の列車も8本/時通っている。さらに私鉄の支線も2本出ているターミナル駅なのに、その駅ビルだけは立派になっても周辺が寂れるようではうまくない。

      f:id:nicky-akira:20190505162811p:plain

 もともとは尾張一の神社である「真清田神社」の門前町だったところで、その参道沿いに立派なアーケード街(本町通り商店街)があった。往時は地方から出稼ぎに来ている「女工さん」たちが、休日にこのアーケード街で休息をし買い物をしたのだろう。
 
 帰省前となれば、抱えきれないほどのものを買い込んで、親元に帰る準備をしたはずである。しかし今では通行人も疎らで、何軒かおきには駐車場と化している「歯抜け通り」になっていた。時代遅れと言っては失礼だが、目抜き通りに昔ながらの古書店が残っていたのにはびっくりした。神田の古本屋街と違い何か特徴があるようにも見えないから、Book-offなどに対抗できるのだろうか?

    f:id:nicky-akira:20190505162904p:plain

 繊維産業を中心にした軽工業第二次世界大戦で重傷を負った日本経済を立て直すきっかけになったもので、それが日米経済摩擦を生むのだがその全盛期を彷彿とさせるのがこのアーケード街である。往時は「ガチャ万」という言葉があり、織物機械が「ガチャ」と動けば、「万」円分業者が儲かるという意味である。JRの快速電車で名古屋駅まで11分という好立地ゆえに、繊維産業衰退後も人口減少をしなかった幸運な街でもある。しかし、工業の街からベッドタウンへの転身政策は(していないのかもしれないが)上手く行っているような気がしない。

 自民党副総裁や、総理を出した街とは思えない活気の無さを感じた。ポテンシャルは高そうなのだが、繊維産業華やかなりしころの想いに今も浸っているのかもしれない。そうだとすると、「尾張一の」名が泣きますよね。