Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

もう一極集中ではいられない(前編)

 長く「東京一極集中を緩和すべし、回避すべし」という議論は行われていた。東京が過密都市になっていて働く人も大変だし、そこにサプライ(都市は膨大な資源を使う)を供給し不要になったものを引き取るエネルギーも半端ではない。一方で都市と地方の主に経済的な格差が問題になり、どちらの住人も満足できないフラストレーションがたまっている。かといって、かつてのポルポト政権のように「都会の世界経済の中で稼ぐ人たちを解放して地方で農業に従事させればいい。エリート層を皆殺しにすれば平等社会が来る」などということもできない。

 政府も「地方創生」と銘打っていろいろ予算などつけるのだが、JR北海道が大幅な運賃値上げや赤字路線の廃止など打ち出さざるを得ないように、上記格差は広がり続けている。政府機関の一部を地方に移すという案もあったが、実際問題としてGDPに与える効果は投資に見合うものではない。企業だってグローバル化を図れば、どうしても本社機能は東京に置くのが便利だ。(いっそシンガポールにいっちゃうくらいの企業もあるけれど・・・)

 

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 ただ僕が危惧し始めたのは、そろそろ経済合理性だけで一極集中を議論できなくなってきたということ。国際情勢がかなり怪しげになってきて、北朝鮮高官の言う「大変なこと」が起きるかもしれないと思い始めたからだ。先日広島で開催された「国際平和のための世界経済人会議」に行ってきたのだが、そこで語られる理想とは逆の方向に世界が向いているような気がしてならない。

 

 2年ほど前はこの70年核兵器が使われておらず実質的に使えない兵器だったことを示して、トランプ先生が「戦術核なら使える兵器だ」と言ったことに驚きを持ってレポートしたが、今や戦略核兵器すら降って来るかもしれないと思うようになった。この2年間の情勢変化は大きい。

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/05/05/120000

 となれば、政治も経済も文化もなにもかも東京に集中している状況は、敵国にとって理想的であることになる。「大変なこと」になる前に、多少強引な手法であっても東京の資産の分散を図る必要があり、政府にはその責任があるのではないか。

 

<続く>