Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

歩兵の対戦車戦闘

 戦車という恐ろしい兵器に対してソフトターゲット(最近は違う意味でつかわれる言葉だが)である歩兵は、どういう対応手段が可能だろうか。一番簡単なのは、逃げること。それも道路や開闊地(障害物のないところの意)を逃げるのは論外。最低視界を遮るものがある場所を逃げることが必要である。
 
 できれば、機関銃の銃撃、主砲(榴弾砲)の砲撃から身を守ってくれる遮蔽物がある方がいい。麦畑のようなところでは、視認はされないかもしれないがバラ撒かれた弾丸を食らう可能性が十分あるからだ。また逃げても固定機関銃座やトーチカと違い、追いかけてくるのが恐ろしい。

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 戦車を含むAFVは、蹂躙攻撃"Over Run" という、ソフトターゲットへの攻撃手段を持っている。要するにキャタピラで踏みにじってしまうわけ。戦車の体当たり攻撃ということ。最近のクーデター等紛争の映像を見ても、戦車が突っ込んでくるとバスのような民生車両を並べてバリケードを作っても、紙細工のように突き破られてしまう。同じ車両でも、造りが全く違うのが良く分かる。
 
 さすがに森林や木造建物、石造建物に突っ込むと、戦車も一定の確率で動けなくなる。従って実際の戦車指揮官も、ゲーム上のプレーヤーもよほどのことがない限りそのような非常手段は採らないだろう。
 
 写真は独ソ戦後期、ソ連戦車にドイツ軍歩兵が対峙している場面である。歩兵分隊Kは森林にいるので、蹂躙攻撃を受ける可能性は低い。ただ森林の地形修正はー1しかないので、砲撃や銃撃で潰走させられてしまいかねない。
 
 一方分隊NNは石垣に拠っているので直接銃砲撃に対しては-2の地形修正を受けられるが、T-34が石垣を乗り越えてくれば蹂躙攻撃を受けてしまう。まあ、車体の砲塔も自分に向いていないのが、幸いである。
 
 次に反撃手段だが、分隊Kは最強の携行対戦車兵器パンツアー・シュレックを持っている。射程は4ヘクスだが、現状の3ヘクス(約120m)はかなり遠い。一撃必中は、期待できない。もし分隊NNがパンツアー・シュレックを持っていたら、距離も2ヘクスだし側面・後面の装甲の薄いところに当るので撃破できるとの期待は高まる。もちろんその場合T-34がそれを検知したら正面を分隊NNに向けるか、そこまで近寄らないだろう。
 
 ドイツ軍歩兵には、もうひとつ白兵戦という反撃の手段がある。戦車は視界が狭い。死角から忍び寄り、または駆け寄りハッチ等から銃撃を加えたり手榴弾を放り込んだりするシーンをイメージしてほしい。映画等で時々出てくるが非常に危険な行為だし、やろうと思うだけで想像を絶する覚悟がいる。
 
 このシーンでは、分隊Kには機会はない。機関銃に向かって開闊地を突進すれば全滅は明らかである。可能性があるのは分隊NNの方で、主砲・同軸機関銃・車体機関銃も射撃できないヘクスCC7に移動して(ゲーム上で突撃期とされるタイミングで)敵戦車と同じヘクスに入り、手榴弾などをブチ込むのだ。
 
 この場合分隊の固有火力(ドイツ軍分隊NNは4)以下の目をサイコロ2つ振って出せれば、T-34は残骸になる。確率は6/36であり、ゲームプレーヤーとしてはやってみたくなる。ただT-34も反撃はできて、6以下の目を出せば分隊を除去できる上に、どちらも相手を除去できなかった場合には分隊NNはCC7という開闊地で次のターンを迎えることになり、すぐに踏みつぶされてしまうだろう。だから考えるプレーヤーは、無謀とも言える白兵突撃はしない。
 
 したがって不思議なことだがこのシーンは、両軍とも決め手に欠け銃砲撃をしてバランスが変わるのを待つことになる。どちらもラッキーヒットに期待をかけて、行方は戦場の女神にゆだねられる。