Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

当面の敵・・・だけかもね

 トランプ先生の中国叩きには、それなりの理由がある。5Gの普及が進んでその機器がファーウェイのものだとなれば、全世界の情報がファーウェイの元へ・・・ファーウェイは中国企業なので「国会情報法」によってファーウェイに集まった情報は国家が見ることができる。かつてソ連崩壊後のロシアで、中国製の電気ポットを輸入禁止にしたことがあると識者はいう。電気ポットに盗聴器が仕掛けられていたというのがその理由。

 

 これがデジタル上で世界中にできてしまうというのが、米国の主張だ。中国としては公式には反論していないが、同じことを米国もしてきただろう、アナログ時代の「エシュロン」、デジタル時代になっての「プリズム」の所業は、スノーデン証言でも明らかだろうと思っている。自分がやって何が悪いのか・・・。「情報を制するもの世界を制す」というのは、現代ではより重みを増した言葉だ。情報覇権は世界覇権、GDP1位2位の両国が争うことは当たり前の話だろう。

 

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 ところが今回トランプ先生がツィッターに、「我々にとっての問題は中国ではない。FRBが問題だ」と書いたことで、世界中に驚きが広がっている。国家間競争に勝ち抜くためには、まず国内の融合・融和が大事だ。にもかかわらず国内に爆弾を投げたのには別の理由がある。銃乱射事件の対応など巡って、先生の支持基盤が揺らぎ始めているのだ。トランプ先生にとっては、来年の大統領選挙に勝って再選されることが最重要課題である。もし落選したなら、ロシア疑惑などが戻ってきて収監される可能性も無視できない。いまは、大統領を訴追することへの抵抗感が強いだけなのだから。

 

 再選のためには景気向上がどうしても必要だから、FRBに利下げをさせて景気浮揚を図りたいのだ。米国の景気は悪くないにもかかわらず、先日利下げに踏み切ったパウエル議長は、十分トランプ先生の意向を忖度したと思う。でも先生はそれでは不十分なのだ。結果として、彼の当面の敵は中国習大人ではなく、FRBパウエル議長になった。

 

 正直こんなに利己的・刹那的で、世界のリーダー国の指導者がいいのかとは思うのだが、民衆が選んだのだから部外者が文句は言うまい。しかしこのままだと、世界秩序は崩壊しそうな気がします。来年の大統領選挙、世界がかたずをのんで見守っているわけですね。