Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

八つ当たりトランプ砲の照準

 このところの最大関心事は自らの再選になっているトランプ先生、ちょっと下馬評が不利で焦りがあるようだ。民主党のバイデン候補、サンダース候補はもちろんもっと知名度の低い候補が民主党予備選に勝って本戦になったとしても、トランプ先生が敗れるという予想が出ている。そこで民主党女性議員をヤリ玉に、「アメリカがいやなら出て行け。国に帰ったほうがいいぞ。自分の最悪の国を立て直したらどうだ」と暴言を連発し反省の色はひとかけらもない。

 それに加えて、大手IT企業Googleを中国寄りの行動をする反逆者として調査せよと言い始めた。きっかけはトランプ先生の支持者のひとりであるIT投資家のピーター・ティール氏の発言である。同氏は、Googleが中国の諜報活動に協力しているといって同社を非難した。ティール氏もPayPalの共同創業者なのだからご存知だろうが、この手の企業は遺伝子的にコスモポリタン。創業の地がアメリカだからといって、過度な愛国心は持たない。もちろん、どこかの国に度をこした便宜を図る意識もない。それにGoogleは2010年に中国市場から撤退して、再参入の計画もないと言っている。

 

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 それなのに(何か証拠があるのかもしれないが)裏切り者よばわりするのは、いかがなものかと思う。現政権がこの騒ぎで得られるメリットとしては、大手IT企業は多くの大衆からは潜在的な敵なので、中国と合わせて叩けば一時的に支持率向上につながる程度のことだ。中長期的にはGoogleはじめ多くのコスモポリタン企業がロビー活動を民主党寄りに強化するだろうから、デメリットの方が多いはず。もうそこまでの計算もできなくなった大統領を、スタッフ一同あきらめて見ているだけのように思う。もちろん、これでは再選などおぼつくまい。

 困るのは不利になればばるほど、八つ当たり的に敵を作り上げて叩き始めること。今のところ安倍政権はこの「怒った赤ちゃん政権」をそれなりにあしらっていて、日本への直接的な大事件は起きていないのだがそれもいつまで持つかわからない。半年ほど前、今般辞任を表明したハガティ大使が、日本の某大手企業を「中国寄り」と発言してその会社では大騒ぎになった。グローバル企業を目指せば中国市場と無縁でいられるはずもなく、往来はあって当たり前なのに・・・である。八つ当たりの赤ちゃん政権に「日本(企業)は中国の手先」などと叫ばれたときの対応は、官民協力して考えておくべきでしょうね。