あの3首脳(左からトランプ先生、安倍総理、習大人)が肩寄せ合ってカメラに向かった映像は、正しくはG20本会議前に行われた「デジタル経済に関する首脳イベント」。これは非公式な会合で、「信頼性のある自由なデータ流通、WTOにおける電子商取引に関する国際的なルール作りを加速させる「大阪トラック」を開始」と宣言したということらしい。しかし、その後も総理はカメラの前で「大阪トラックをスタートさせて、自由なデータ流通の国際的なルールづくりを目指す」と言っている。
B20の経団連もだが、G20スタッフの困難な課題に挑んだ努力に敬意を払いながら、僕は「大阪トラック」で何をするのか位置づけはどうかがわからないので、「信頼性のある・・・」という文章の意味について聞いた。すると、
・「大阪トラック」はG20ともG7とも切り離された舞台。
・自由なデータ流通の国際的なルールづくりはトラックで議論するが、
その具体的なスケジュール、枠組みなどは未定。
・WTO電子商取引のルールづくりもトラックで議論するが、目標時期がある。
2020年のWTO閣僚会議に向けて提案をまとめることになろう。
・電子商取引ルールについては、途上国含めて多くの国を巻き込んで
WTO閣僚会議にむけた議論をする。
・データ流通ルールについては、どのくらいの国で議論するかも、
データの種類を分けて議論するかも決まっていない。
との答えだった。データ流通ルールは「企業がどんなデータをどう使っているか、使いたいかが(全ての国の役人が)理解できていない」から具体的な目標も立てようがなかったとのこと。本来ならそういう課題をあらかじめB20にぶつけておいてくれたらとも思ったが、B20の方もそれだけの議論ができる時間はなかっただろう。
いずれにせよ「大阪トラック」を僕らの希望通り発進させるのには、民間の力が絶対に必要ということが分かった。わあ、G20まで終わってほっと一息かと思ったのに、産業界も本腰入れて「大阪トラック」の議論に入っていかないといけないようですね。