さて、僕がお話しする「30年後の文系研究者への期待」だが、
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/12/09/140000
に書いたように、30年後のことを考えるなら30年前に戻ってみるのが僕流。米ソ冷戦が終わり中国が台頭、日米欧だけだった経済圏が一気に広がった。一方インターネットの商用利用やWindowsの登場で、コンピュータが個人のところまで降りてきた。その後の30年は、僕にとってはもちろんだが「Global&Digital」化の時代だったといえる。30年間にどんなことがあったか、いくつかのエピソードを紹介した。ポイントは、
・情報があふれ個人の能力が増した。既存メディアは相対的に地位を下げた。
・国際的に格差は縮んだ、しかし個々の国の中では格差が広がった。
・技術革新が激しく、デジタル屋は新しい市場開拓を血道をあげて繰り返した。
というものである。デジタル経済には国境はなく、データが組織間・企業間を国境を越えて飛び交い、個々の政府には制御が難しくなった。自由主義の国はこれを容認し経済成長を後押ししたが、デジタル鎖国を選ぶ国もあった。その代表が中国ロシアである。
今年G20の議長国だった日本は、自由主義陣営の一員として国際間のデータ流通ルールを定める「大阪トラック」を設置した。現状を客観的にみると、デジタル技術・経済の動きが速いためいろいろな課題が生まれている。
・国境のないサイバー空間に、条約らしきもの国際法らしきものがほとんどない。
・国家の安全保障にかかわることも、課税などの国家活動にしてもルールが不明確。
・企業は安いところで買い高く売れるところで売るので、資源が偏在する。
さて、文系研究者の皆さんへのお願いはここからである。2点あって、
・30年後、国の役割は何だろう?
⇒Googleは「世界統一政府で必要なすべてを提供する」と言っている。
・30年後、人間って何だろう?
⇒AI、Robotの進化で、人間との違いやその境界が分からなくなる。
答えのないことを押し付けて申し訳なかったのですが、これを考えてもらわないと、ますます社会矛盾が広がってしまいますからね。