Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

サイバー・デューデリジェンス

 昨今のベンチャーキャピタルは、出資したベンチャー企業の出口を大手に売りつけるのと思っているようだ。確かにGAFAに代表されるネット企業が大きくなるのは、将来に希望のあるベンチャーを買い漁っているせいもある。1990年代から米国のM&Aは日本からはすさまじく思えたのだが、最近は日本でもM&A話が相当頻繁になってきている。成熟産業の縮退戦術による合併も目立つが、新興企業の身売りなども徐々にアメリカ流になってきた感がある。

 M&Aの時買う側が気をつけなくてはいけないことは、相手企業がどういう経営状態にあるかをしっかり調べること。粉飾決算などは論外としても、資産の含み損のようなものもあるだろうし、製品/サービスの品質リスクなども考慮しなくてはいけない。大きな比率を占める取引先の経営が大丈夫かという不安もあるし、上場企業であれば風評被害で株価が暴落したり仕手戦を狙うヤカラがいるかどうかも気になる。

 先日ある会合で、M&Aをした時に相手企業のサイバーリスクをちゃんと見ることが出来なかったゆえに合併後損失を出したという話を聞いた。製品のリコールのような単純なものではないだけに、この種のリスクは測りづらい。仮想通貨取引所を買収したはいいけれど、サイバー攻撃を喰らってお客様の資金をごっそり素抜かれたなんてことになれば、一大事である。いよいよ「サイバー・デューデリジェンス」の時代に入ったかなと思って上記の話を聞いていた。

 

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 例えば昨年、マネックスコインチェック社を買収する話が合った。事件で580億円もの仮想通貨を失ったコインチェック社だが、その後一部業務は再開している。しかし580億円の大半は回収できていないとも聞いた。どのような再発防止策がとられたのでか、それで利用者が納得しているかどうかはわからない。

 

 こういう直接的な例でなくても、潜在的なサイバーリスクの見える化M&Aでなくても普通のお取引でも留意するようにしなくてはならないかもしれません。