今月の国会で健康保険法などが改正され、マイナンバーカードに健康保険アプリを乗っけて健康保険証として使えるようになった。まだ関連の施行令・規則などはOpenになっていないが、施行は2020年3月だとのこと。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019051500162&g=pol
旧ブログで「マイナンバーへの長い道」という5回連載の記事を書いたが、1960年代から続く「国民総背番号制」と批判された共通番号制度の導入には50年近い歳月を要した。住民基本台帳制度で一応共通番号は導入されたが全く普及せず、それよりマシとはいえ現在のマイナンバーもカードとなると精々15%ほどの普及率だと聞いた。
一部メディアや論客の「市民を管理する政府の陰謀論」は論外としても、なんとなく気持ち悪いと思っている人がいることは確かである。それゆえ政府は、「マイナンバーを悪用して国民の皆さんの実態把握などしません」と説明し、行政内でのマイナンバー利用には厳しい制約を設けている。それがマイナンバーカードの市民サイドからのメリットを制限することにもつながり、普及の妨げになっている。
マイナンバーカードはICカードだから、小さなコンピュータと思ってもらっていい。その中にいろいろなアプリケーションを独立させて収納し、複数のカードとして使用できる。ただでさえいろいろなカードが世の中にあふれていて、財布の中はお金は無くなりつつあるのにカードではちきれそうになってしまう。これを一枚のICカードで代替えできればメリットはある。(もちろん無くした時のダメージは大きいが)
マイナンバーカード普及のカギは使えるアプリの増加なのだが、かといって民間サービスを乗っけるとなるといろいろ難しいことがある。そこで行政サービスをできるだけ乗っけようというのは自然な流れなのだが、行政サービスには「利権」がからみついている。健康保険証についていえば、厚生労働省・いわゆる族議員・医療等関係事業者が存在する。カードの発行事業者からみれば、マイナンバーカードで代替えされればカード印刷事業がなくなるわけだ。
共通カード普及促進の議論で10年以上前から議論されてきた健康保険機能アプリ追加だが、ようやくなったとはいえ時間がかかりすぎただろう。しかしこれでもマイナンバーカード普及には十分ではないと思う。決め手は運転免許証だ。このアプリがマイナンバーカードに乗れば、普及率は50%は優に超えるだろう。そのためには、警察庁につながる上記の人たちを説得しなくてはならないけれど。