Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国、もうひとつの格差問題

 今年最大の国際的論争の争点といえば、恐らくは米中対立。日本はG20の議長国でもありこの件には深くかかわらざるを得ない。問題の根本は、中国という国の思ったより早い経済成長である。同時に軍事能力も強化しているが、それにはまだ疑問符も付く。

 
 中国はもうじき人口14憶人に迫る規模を持ち、GDPも日本を抜いて世界第二位まで上がってきている。「中国製造2025」などのイノベーションを期待するならば、世界制覇も夢ではないと思われる。米国のトランプ政権が昨年後半から「戦闘モード」に入っている原因もそこにある。
 
 ただ僕は以前からこの国の内政には問題があり、国の中で問題が噴出するのが王朝が倒れる一番多いケースだから、そこがネックだと思っている。大きな問題と言えば、まずは辺境の民族紛争。新疆ウィグル自治区では住民をQRコードで管理するなど、統制を強化して対処しているらしい。デジタル技術がそんなことに使われるのは、僕は気に入らないのだが、まあ仕方ないとも思う。
 

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 次の問題は、都市と地方の格差。沿海部の発展が著しいエリアには4憶人以上が住み、富裕層も多い。ここで働く人たちの中には「農民工」という都市戸籍を持たない人も多く、彼らは都市の人たちのような生活保護を受けることもなく搾取され続けている。それでも農村で暮らすよりはマシだということだ。
 
 ところがさらに、都市戸籍を持つ人たちにも格差が広がっているということを聞いた。大都市全般に言えることだが、例えば北京では物価上昇がひどく賃貸住宅価格が年間40%上昇している。香港では普通のマンションが日本円で1億円では買えないという。恐らく住宅だけではなく生活費全体が上がっているのだろう。それでいて、米中貿易戦争の絡みもあって年収が増えない人が多い。この構図は、パリで見た「黄色いベスト運動」に通じるものがある。
 
 習皇帝(失礼!)が一番恐れるべきは、トランプ先生ではなく中産階級の不満だと思う。辺境の異民族は軍事力で押さえつけることもできるのだが、没落する中間層の不満が大きくなるとこれを制御することは難しいだろう。トランプ先生が嫌がらせをしたいなら、彼らに「偽ニュース」をバラ撒いて蜂起させることである・・・冗談ですが。