Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ロシア経済を支えるもの

 金(Gold)が空前の高騰を見せているという。ウクライナ侵攻、中東危機や円安の影響もあって、相場で1g=1万円が見えてきたという記事があった。

 

空前の金高騰 買い取り希望が続々 - Yahoo!ニュース

 

 砲弾補給をはじめとする戦争継続能力の維持に腐心しているプーチン政権は、ついに国連の制裁対象国家たる北朝鮮に助力を(あからさまに)求めた。一方、自国への経済制裁も厳しさを増していて、原油などエネルギー価格の高騰がなければ経済的に困窮するだろうとの予測もある。しかし、意外にもロシア経済は崩壊の兆しは見せていない。その原因のひとつが、闇マーケットからの収入。その代表的なものが金であるとも伝えられる。

 

        


 金は最も信用できる通貨であるし、取引履歴が残らない。マネーロンダリングや闇マーケットでの取引には、非常に珍重される。世界全体での保有量は公式には3.5万トンだが、そのほかにどれほどの隠し金があるかはよく分からない。

 

 日本を含めて金鉱山は方々にあるが、採掘が簡単だったり純度が高い鉱山はあらかた掘り尽くされている。現在は、アフリカ諸国の過疎地帯での採掘が多いという。鉱山とも言えないような貧弱な設備で、子供で無ければ入れないような小さな穴から採掘される金でも、精錬されて純度99.99%となれば採掘地などは鑑定できない。最新技術でもトレースできず、かつ大きな価値を持つ古来の資産だ。<ワグネル>が採掘利権を持つという金鉱山も、アフリカ諸国に点在している。

 

 こういうところでは、命の危険にさらされながらの児童労働が常態化している。欧米の資本は人権を重視して、このような「鉱山」との取引はしないのだが、ロシア等はそんな堅苦しいことは言わない。鉱山を持つ国にしても、その鉱山にしても、極端に言えばそこで働かされている子供(*1)にしても、金が掘れなければ困窮して命の危険もある。民主主義・法の支配・自由と人権といった「理想」はここでは通用しないのだ。

 

 金の高騰は、ロシア経済を延命させる効果もあります。上記のような好ましくない採掘や流通を、なんとか取り締まることが国際社会に求められますね。

 

*1:誘拐されたり売られてきた子供も多いという