Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

警官殺し、日本のケース

 先週、驚くような事件が起きた。長野県中野市で、猟銃とナイフで武装した男が4人の人を殺し、立て籠もったのちに逮捕されたとされるもの。スケールはともかく「津山30人殺し」を思わせるような事件だ。容疑者が中野市議会議長の息子だという点からも、その事件を想起させた。

 

 今回は、警官2人(警部補と巡査部長)が散弾銃で射殺されたというのが、もうひとつ驚いたこと。日本で複数の警察官が殺害されるというのは、1989年の中村橋派出所で拳銃を奪おうとした男が、2人の警察官をサバイバルナイフで刺殺して以来のことだと思う。それ以前を見ても、1979年の三菱銀行人質事件くらいしか思い当たらない「重罪」である。

 

 日本では少ないケースでも、犯罪大国米国では時々起きるのが警官殺し。被害者が警官の場合、犯人を追う警察組織の勢いは通常の殺人事件とは異なる次元のものになるという。

 

    

 

警官の父親を殺した容疑者 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 これはエド・マクベインの「87分署シリーズ」の1編だが、主人公キャレラ刑事の父親が殺されキャレラ刑事と面識もない所轄刑事たちも、血道を上げて犯人に迫る。別のミステリーでは、警官殺しの容疑者は逮捕せず「抵抗しました」と言って殺してしまうシーンもあった。

 

 中村橋の事件では、容疑者は拳銃を奪えず後に通常逮捕されている(*1)。しかし今回の事件では、容疑者は散弾銃を持って立て籠もっており、警察側が発砲しても言い訳可能な条件は整っていた。

 

 夜が更けても容疑者確保の報道は入らず、ベッドに入って「日本でも容疑者射殺」ということになるかもしれないと思いながら眠った。朝のニュースで身柄の確保を知り、日本の警察はやはり良識を守ったと思った。

 

 日本の警察は銃器の使用については、極めて厳格で慎重。それはいいのですが、今後増えてくるかもしれない凶悪犯罪に対してどうすべきなのか、警察官の命を守ることも含めて、考えさせられる事件でした。

 

*1:警官2名殺害で有罪となり、死刑判決が確定して現在服役中。