Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

警察への市民の信頼

 先日警察庁の幹部と意見交換する機会があった。僕がいつものようにデータをデジタルにして、いかに新しい活用法を考えるかが民間のDXのポイントだというと、それは公共部門も同じだとの返事があった。警察という組織も多くのデータを持っている。例として、街中の交番でもどんな人が通ったとか、人流が増えている・減っているという情報が得られているという。

 

 僕はそれを何に活用するかがポイントだと言った。市民には「データの濫用」に関する危惧があって、特に欧州委員会などはセンシティブだ。だから民間企業も構想レベルから、

 

・どこにあるどんなデータを

・誰がどのように使って

・何の役に立てるのか

 

 を開示して「万機公論に決すべし」べきだとかねて主張している。データ活用のハードルをひとつづくクリアしていっても、さて活用(ビジネス)開始と同時に炎上してしまっては目も当てられない。公共部門も民間企業も、結局「信頼」をどう維持するかだよねと言って、意見交換を終えた。

 

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 いろいろ批判はあるものの、日本の警察はそれなりの信頼を得ていると思う。ところが米国ではそうでもないと、この記事を見て思った。

 

イメージ戦略に失敗?「SF的悪夢だ」との反対受け…ニューヨーク市警、犬型ロボットの使用中止:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

 「デジドッグ」という犬型AIロボットを、米国の警察が試行していることは聞いていたが、市民の信頼が得られずに運用中止に至ったという。警察犬の運用としては麻薬犬が有名だが、実は犬を麻薬中毒にして必死で嗅ぎまわるように改造したのが麻薬犬なので、動物虐待という指摘もある。

 

 麻薬センサーを搭載するかどうかは別にして、危険なエリアの偵察にも使える「デジドッグ」は有用だと思うのだが「警察の軍事化」との非難もあって使うことが出来なくなった。思い出すのは昨年のBLM運動で、Microsoftが警察への「顔認証技術」の提供を止めるという話があった。

 

 イメージ戦略を間違えた「名犬ラッシーと名付けるべきだった」と記事にあるが、そんな可愛い話ではないだろう。警察力そのものの信頼が根底から揺らいでいるわけで、その対策を考えるのがバイデン政権の「内政上の課題」だと思うのですが。