Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

オンライン裁判・・・でもその前に(後編)

 聞くところによると刑事事件もいろいろなレベルがあって、交通違反程度の科料・罰金くらいなら「争い」はなく、規定があるので即決できる。このあたりは多少工夫するにしてもオンライン化はすぐできそうな気がする。

 

 問題はもう少し重い罪、懲役/禁固何年で執行猶予を争うようなもの、あるいは最高刑は死刑までありうるような重大事案の場合だ。これらの事案については、

 

・事件の実態をつまびらかにし、

・被告人の関与の真偽を定め、

・法に照らす正しい量刑を定め、

・この審判の記録を証拠とともに記録する。

 

 といいうのが(僕なりに見た)裁判の本質であることに立ち返って、これをサイバー空間を活用して再構築するにはどうすべきかを考えるのがいい。再構築というからには、裁判員制度に拘らずいろいろな裁判の形式を比較検討するべきだと思う。そう思っていたところ先日読んだイタリア法廷ミステリーが、いいヒントになった。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/05/22/000000

 

 まず予審があり、裁判官・検察官・被告人・弁護人で審理すべきことの概要を確認し方針を定める。容疑者(&弁護人)は、略式裁判と重罪院の裁判を選択できる。前者は検察官しか証拠を提出できず有罪はほぼ確定するが、審理時間も短くカネもかからず量刑も軽くなる。後者はその逆だ。

 

    f:id:nicky-akira:20200522112059j:plain

 

 映画やTVドラマはともかく、日本の刑事事件でも「被疑者否認のまま送検、無罪を主張し裁判で全面的に争う」ものは、ごく少数だ。誤解を恐れずに言えば、大半はイタリアの略式裁判なら簡単に収められるものということになる。

 

 仮に予審・略式裁判 or 重罪院裁判方式にすれば、予審と略式裁判はオンライン化できるような気がする。

 

・検察側のデジタル証拠で、実態はつまびらかになり、

・被告人が関与を認否し、

・経験ある裁判官が多くの判例をもとに量刑を定め、

・審理の記録はデジタル保存される。

 

 のだから、やるべきことは全部できる。もちろん日本の司法界もいろいろご検討されているとは思うのだが、「COVID-19」の災い転じて福となすとような社会制度改革、法曹界でもできるといいですね。門外漢ですが、期待もし、応援しますよ。