Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

行けなくて良かったかも

 昨年G20の議長国はサウジアラビアだった。世界でひとつのインターネット、国境のないサイバー空間という理想を求めている僕らデジタル屋にとっては、中国ほどではないが困った国のひとつである。

 

 一昨年の議長国日本は、安倍(当時)総理が「DFFT」という概念を発表して、Trustを保ちながらデータを国際的に流通させようと提唱した。本来なら昨年はそれを発展させたり、具体化する段階であってほしかった。しかしかの国はデータ流通に高いハードルを設けていて、滅多なことではデータを持ち出すことができない。いやそれだけではなく「サウジ家のアラビア」という名前が示すように、いろいろ僕らには理解しがたいルールがまかり通っている。

 

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 1991年の湾岸危機のおり、国際政治学者は「クゥエートやサウジが王政国家、フセインイラクの方がずっと民主的。選挙もあるし、女性兵士までいる」と言っていた。それでも多国籍軍は、翌年イラクを打倒しサウジを守りクゥエートを復活させた。そんな国が、まだG20の中にいる。僕自身はムハンマド皇太子の「改革」に一縷の望みをかけていたのだが、それも怪しくなってきた。2018年にカショギ記者が暗殺された件、皇太子の直接指示との見方が有力になってきたのだ。

 

「第2のアラブの春」勃発の兆候…サウジアラビア孤立、揺らぐムハンマド皇太子支配 (biz-journal.jp)

 

 それまでは「改革開放」をしてもらって、サイバー空間での国境が下がることを期待していたのだが、昨秋のG20会合でもその気配は感じられず、皇太子の改革よりは「第二のアラブの春」へと期待を移さざるを得ないようだ。

 

 一昨年「中東現地協力会」でデジタル関係のセッションができ、初めてイスタンブールに行った。中東・北アフリカ地区の駐在員さんたちも、DFFTには期待をかけていてくれた。それを再度主張するため、G20の周辺会合は無理でも「中東現地協力会」の力を借りて現地に行くことも考えていたが「COVID-19」の影響で、白紙になった。

 

 まあ結果としてはそれでも良かったのかもしれません。変にいつもの調子で騒いで先方の機嫌を損ね、帰国できないことにでもなったら目も当てられませんから。でもあのエリアが不安定になるのは、とても不安ですね。