Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日本に「Car Fax」があれば!

 岐阜市の中古車販売業者に対し、「代金を払ったのに納車されない」とか「実は事故車だった」という苦情が多数寄せられていると報道されたのが8月。今回、そのうちの一つの事件で販売店の社長に代金270万円あまりを返還するよう命じる判決があった。当該社長は一度も出廷しなかったという。

 

 納車しないのは明白な詐欺だが、事故車をその事実を隠して売りつけるのはどうか?弁護士によると、

 

・「事故車」と伝える義務を規定した法律はない。

・消費者に不利な事実を故意に告げず誤認させたときは、契約を取り消すことができる。(消費者契約法

 

 という。この中古車販売業者は、30件あまりで訴えられているようで、その中には事故で廃車になったものや、豪雨災害で水没したものを売りつけられたケースがあるという。この報道を聞いて、ある会社が日本に残っていてくれたらなあと改めて思った。

 

 それは「Car Fax Japan」という会社。米国で中古車情報を提供する最大手企業が、日本に2000年代初めに設立したものだ。それ以前から「DATA Driven Economy」を追求していた僕は、個人売買が多い米国の中古車市場で「中古車データを1件いくらで売る」ビジネスを広げているこの会社に注目していた。

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/04/19/120000

 

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 それが日本に上陸したのだが、米国と日本の事情の違いに阻まれた。簡単に言うと米国では簡単に集められた個別のクルマの情報が、日本ではそうはいかなかったから。クルマの情報は、登録されている地方政府に行けば手に入るのが米国。クルマそのものはモノだから、個人情報の縛りが少なくOpen-DATAなのだ。それが日本では地方政府が個人情報保護を盾にOpenにしてくれなかったし、地方によって対応がまちまちだったとその会社の人に聞いた。

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/04/20/120000

 

 その後国交省で「自動車情報の活用に関する将来ビジョン検討会」というものを開いてもらって、DATAの流通・活用を考えたのだが結局自工会というカベを越えることは出来なかった。この事件自体は小さなことかもしれませんが、自動車情報の活用議論を再燃させるきっかけになってほしいものです。