「COVID-19」感染拡大対策への施策について、メディアや野党の舌鋒は鋭い。確かに「アベノマスク」のような少しズレた政策もあったし、「GoTo Travel」などは早すぎたように思う。専門家委員会・分科会を含めた中央行政の施策で、一番やり玉に挙がったのが「PCR検査の拡充」。
・諸外国に比べて検査数が少なすぎる。
・重症化しないと受けさせてもらえない。
・挙句に数万円と高い。無償化している国もあるのに。
という具合。政府も「一日xx件可能に拡充」と数値目標は言うのだが、あくまで可能性であって本当に受けられるかどうかはわからない。実績件数は、目標には及ばないレベルで推移している。その点を追求されると「目詰まりを起こしている」との答弁があった。
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200830-OYT1T50218/
明らかにPCR検査数が伸びないネックとなっているのは、保健所の資源不足である。決して安倍政権になってからではないが、行政改革の看板のもと保健所の統廃合は進み要員も半減していると上記の記事は言う。
指定感染症のマネジメントは地域の保健所に一元化されているので、感染疑惑のある人・感染が判明した人・濃厚接触者などの管理はほぼ保健所が担うことになる。一元化のシステムは感染症を抑え込むのに有効だが、通常の感染症の脅威が少ない時期においては、その体制を支えるだけでも「行政の無駄」に見える。
あまり報道はないのだが、保健所の現場では過労死レベルの過酷な労働環境なのではないか。これは平時と非常時の切り替えが上手ではない、日本の近代社会の弱点のように思う。政府が支援策を検討しているというが、根本的な資源不足は一朝一夕に解決するものではない。上記の記事は、
・保健師でなくてはならない業務の一般応援者への割り当て
・保健所機能の強化と保健師の計画的な育成
を施策として挙げている。これらの施策は間違っていないのだが、まだ不十分だと僕は思う。例えば感染者のトレースは日本では保健師でなくてはできないが、米国では無資格の失業者を臨時雇用して担当させているという。別に感染症の知識がなくても、ヒトを追いかけるのは私立探偵や引退した刑事の方がお得意のはずだ。
<続く>