Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

IPOとTOB、時の流れか?

 アリババ傘下の世界最大のユニコーン企業「アント」が、IPOを目指すという報道があった。香港と上海の同時上場をするという。その規模は未曽有のもので、サウジアラムコと同じくらいだという人もいる。現在の最大株主はジャック馬なので資産家としての彼は、これによって世界の富豪ベスト10に入るかもしれない。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/07/21/060000

 

 そうういえば30年ほど前、日本がバブルで踊っていたころは「親子上場」が結構あった。異業種ならともかく、似たような事業をしている子会社を上場して何のメリットがあるのか、僕にはよく分からなかった。しかし証券業界はビジネスチャンスが増えるわけだから、表立っての批判はしなかった。いやむしろ証券市場の事をよく分かっていない経営者をそそのかして、子会社の上場でキャッシュが入りますよと強行させたような話も聞く。

 

 その結果(でもないかもしれないが)日本の大企業は「親子上場」当たり前、の雰囲気になった。しかしバブル崩壊コーポレートガバナンスの問題もあって、類似業種の子会社は上場廃止したり、直接コラボレーションの余地の少ない子会社は整理をするようになっている。

 

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 整理の仕方も、まずは異業種との合弁に移したり、部門別に切り売りしたりして扱いやすくし、合弁相手に引き取ってもらったり、市場で売却したりするわけだ。本業とコラボできる余地の大きいと思った事業は、仮に他社のものであっても買収に出ることもある。対象が上場企業なら、TOBという手もある。先日コロワイド大戸屋TOBの話を紹介したが、今度は伊藤忠ファミリーマートTOBするという記事があった。

 

https://diamond.jp/articles/-/246953

 

 かなり以前からファミマは伊藤忠傘下にあり、僕の友人も伊藤忠からファミマに出向していた。流通業界の現状は、彼から学んだことが大きい。日本では「親子上場」廃止に向かっているのに、中国では「親子上場」だという。時の勢いか流れか?社会の成熟のライフサイクルなのかもしれないと思う。

 

 そうすると20年後くらいにアリババなどが、「親子上場」廃止に向けTOBでの整理プロセスに入るのだろうか。その頃までは生きていて、見届けたいものですね。