Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

AIの国際団体「GPAI」(後編)

 「GPAI」加盟国は、オーストラリア・カナダ・ドイツ・インド・フランス・イタリア・日本・韓国・ニュージーランド・メキシコ・シンガポール・イギリス・米国・スロベニア欧州連合。会合の目的は「人間中心の考えに基づく責任あるAIの開発と使用」を目指すことだという。

 

 具体的には4つの作業部会があって議論を重ねているのだが、短期的なテーマとして「COVID-19」へのよりよい対応とそこからの回復にAIがどう寄与できるかということも論点だという。作業部会は、

 

(1)責任あるAI

(2)データガバナンス

(3)仕事の未来

(4)イノベーションと商業化

 

 で、日本からもすべての作業部会に参加者がいる。今回は(1)の作業部会に参加されている専門家からお話を聞いた。原語では「Responsible AI」なのだが、ここでも「責任」の意味が英語と日本語で少し違うかもしれない。参加している専門家はほとんどがAIの研究者、法学や倫理学の人もいないわけではなかろうが、ビジネスの色は見当たらない。

 

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 日本政府の「GPAI」紹介によると、「一流の専門家を、産業界・市民団体・政府・学術界から集めた」とあるのだが、少なくとも(1)作業部会に産業界や市民団体の人は見当たらない。政府も含めてAIの専門家と言えば大半は学術界だから、仕方ない面はあるのだが・・・。

 

 学術界の人は結局研究が進むことが一番、それも早く障害をクリアしたい。市民団体等が「説明責任」を掲げて研究阻止にでた時に、これこれの条件をクリアすれば研究が進められますよ・・・というガイドラインができてくれるのが嬉しい。だからどうしても、より安全サイドに倒したガイドラインを手っ取り早く作りたがる。

 

 産業界らが困るのは、研究は出来るけれど結局ビジネスにはなりませんでした・・・というケース。そうでなくてもデジタル技術は一般の人から「分かりにくい」とされて、技術導入のためのリスクコミュニケーションの比重が増しているのだから。

 

 この話、今日は課題を伺っただけ。引き続き国際会議でどういうオピニオンを(日本として)発信していくべきか、マルチステークホルダーで具体的な適用事例を想定して議論する必要がありそうですね。