サイバー空間の危険性はどんどん増していて、国家レベルの攻撃も増加傾向。特別に訓練し、十分な隠ぺい工作をやった上で侵攻してくるから一企業で対抗するのは難しい。北朝鮮が核兵器やロケット開発の資金をサイバー攻撃で稼いでいるとの記事もあり、先月は米国司法省が北朝鮮のハッカー3名を起訴したという。世界中の銀行から13億ドル盗もうとしたとの容疑。未遂なのか実害があったのかは、記事からだけでは分からない。
さてその対策は、社会全体で取り組んでいかないといけないのだが、範囲は非常に広い。このブログでもいろいろな視点で取組や政策を御紹介しているが、今回は人材育成それも大学院関係の課題と対策を聞いた。
高度な研究人材といえば、企業内にもいるが大学院に期待するところも大きい。文科省で先端研究施策を担当していたという人は、海外では博士課程の人材にはちゃんと報酬を払い、本当に戦力として活用しているという。しかし日本では博士課程はまだ「学生」授業料を払って研究(補助?)をしている。偉い(年季の入った)先生がいて、助教授・講師以下はその補助をする傍ら自分の研究をするという、日本の学界の古い体質がにじみ出ているわけだ。
しかしデジタル技術にかけては年季の入った(大)先生よりも、若くて柔軟な「デジタル・ネイティブ世代」の方がいいアイデアも出せるように思う。そこで今回のサイバーセキュリティ戦略見直しに当たっては、リサーチアシスタント経費として支給される助成金で博士課程学生を処遇できるようにするという。それはいい一歩なのだが教育の現場からは、
「東京オリ/パラまでがんばれ!と支給されてきた助成金が今年で終わる。引き続きの研究体制を維持できない」
との悲鳴も上がった。基礎研究をオリ/パラ当年までやって打ち切るので何の意味があるのか悩むが、予算取りの名目にオリ/パラを使っただけの事だろう。これに対しては行政側からはいい知恵がなく、民間も含めた研究基金がいるくらいのもの。ただ企業が大学(院)に依頼研究をしている関係で、大学がハックされたら企業研究も盗まれるかもとのリスクがある。企業が大学に資金提供してサイバー防御を固める必要性はあろうと、関係者間では一致した。
まあなんとか資金を集めて、次世代の人材を今から活用するというエコシステムを社会全体で作ろうねで、話は終わりました。さて、上手くいきますかね。