今週のお題「桜」にちなみ、熱海の桜の一つを紹介したい。早咲きの熱海桜のほかにも、綺麗な桜はいくつもある。熱海の中心市街地を流れる川「初川」がもうすぐ熱海港に注ごうというところに、その桜はある。ひどくアナクロだと思うのだが、熱海の売り物の一つが「芸妓はん」。昔ながらの芸者さんたちが芸を磨いた「見番」が川沿いにあるのだが、その向かいに見事な枝垂桜が咲いている。
「芸妓見番」は、いまでも一般の人が見ることができる。
「華の舞」という一般公演が週末の11時から開演されていて、「熱海芸者の心意気」を感じることができるのだそうだ。一瞬、熱海好きだった文豪たちと同じ気分に浸れるという人もいる。
ここ清水町は昔の熱海の下町だったようで、庶民的な商店街が今も残っている。初川の少し上流にはスーパーマーケット「MAXVALUE」の店舗があるのだが、この建物は以前は「ヤオハン」の旗艦店だったところ。
また「色気よりは食い気」という諸氏には、「中島水産市民市場」というとてもお魚が豊富な市場がある。熱海港はヨットハーバーやフェリーの発着中心なのだが、周辺には網代・真鶴・伊豆多賀やちょっと足を延ばせば沼津港や稲取漁港がある。相模湾・駿河湾の双方から近海魚の漁獲は多い。
春になると「初カツオ」が旬の魚の代名詞だが、ここではもっといろいろな魚に出会える。ここ「中島水産市民市場」で、ホウボウやイサキの刺身が多く並ぶようになると熱海で暮らすようになった僕は、春を感じたものだった。
例えばこのホウボウだが、外観は割合グロテスクな上に、顔ばかり大きくダシを取るくらいにしか使えないように思うのだが、プリッとした白身の魚で刺身にすると歯ごたえ良く、さっぱりとした味わいである。「中島水産市民市場」は大手スーパーマーケットがそばにあってもいつも千客万来、飲食店の仕入れと思しき人たちもやってきて賑わっている。何か一皿買って帰り、今夜はちょっと多めにお酒を飲むことにしましょうか。
