Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

各国へのデジタル政策要望

 先月2回の海外出張に行った目的は、OECD経済協力開発機構)の「Going Digital Summitt」とそれに続く関連会合に出席するためだった。AI(人工知能)だ、IoT(モノのインターネット)だとデジタル関連の新技術が出てきて、これらを有効活用した国、地域、企業、ひいては個人までもがいろいろな面で優位に立つことになるのは、おそらく間違いがなかろう。

 

 パリの会合ではスロバキアの首相が基調講演をし、デジタル活用をすることで小国といえど(大国に対して)十分な競争力を持てると言った。あるセッションでは「中小企業も同じこと、大企業に対しデジタル活用で有利になれる可能性がある」と言っていた。そのための条件として、「柔軟性のある考え方をすること」と付け加えた識者もいた。

 

 例えば日本の今の国会にかかっている「デジタル・ファースト法案」、年末から印鑑業界からの反発が強く法案提出が危ぶまれた時期もあったという。デジタル化によって社会全体が受ける恩恵と一部業界の葛藤、どこでもありそうな話だがこういうことをスマートに乗り越えていく柔軟性が求められるということだろう。

 

 続くワシントンDCの会合では、各国の政府に対してより具体的な提言がOECDから出された。いわく、

 

 ・政府担当官は、デジタル技術とその効果を十分に認識すること。

 ・現行制度とデジタル化の間にあるギャップを正確に把握すること。

 ・省庁単体の動きでなく、政府全体の活動まで高め指標を作ること。

 ・担当官は、Risk Management、Trust、Privacy、Consumerを勉強すること。

 

 が求められるとした。すでに世界経済は「DATA Driven」になってきており、DATAはFoodのような存在になったというひともいた。すべての人に与えられるべきだし、安全でなくてはならないという意味のようだ。

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 このような感覚が政府担当官、政治家、企業経営者等日本社会を支えている人たちにあれば、日本社会・経済の将来は明るい。印鑑業界には申し訳ないと思いつつも、人力車が出てくれば駕籠かきが廃業し、円タクが出てくれば人力車が廃業するのは世の習い。そのあたりをご勘案いただきたいものである。