Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「手羽喰いにいこうぜ」のお店(後編)

 懐かしさ一杯だけれど、このお店に一人で入るのは初めてのこと。奥の部屋に案内されると、テーブル席20人弱のスペース。恰幅のいいおじさんが一人で座り、若い4人のグループがジョッキを挙げていて、その間の空いている2人席に座った。メニューを眺めてお値段を見たのだが、20年前からそれほど値上がりはしていないように思う。まず生ビールを頼み、

 

・たこわさ

手羽先唐揚げ(5本)

・味噌串カツ(2本)

 

 を注文した。すぐにビールとお通し(ほうれん草とシラスの和え物)がやってきて、続いてたこわさが来た。これでまずは一口・・・。

 

        

 

 昔なら揚げ物が来る前に、ビールの一杯目は飲み干してしまうのだが、ここはぐっと我慢。ほうれん草とシラスをつまみながら、揚げ物が来るのを待った。隣で呑んでいたおじさんは、店員を呼び「手羽先1人前と焼きおにぎり2個を、持ち帰りで」と注文した。ずいぶん出来上がているようだったが、帰ってからもまだ吞むつもりだろうか。

 

    

 

 想定より早く、5分ほどで串カツ、続いて(待望の)手羽先がやってきた。表面にたっぷりのコショウとゴマが振りかけてあって、強烈なアクセントになっている。手羽先には2本の骨が通っていて、両端に軟骨がある。テーブル上に「手羽先の美味しい食べ方ガイド」があるが、20年やそこらで忘れるものではない。身の部分はもちろん、軟骨まで綺麗に食べた。そうそうドイツ人に喰わせたら、骨までガリガリかじり全部食べようとしたっけ。鶏の骨は縦に割けるので、食道に刺さる危険性がある。主骨は食べない方が宜しい。

 

 ビールが空いたので、日本酒(辛丹波)を常温で注文。昔ながらの白い徳利と猪口を持ってきてくれた。このチェーンに通い始めたころは、ビールの後は日本酒。冷酒の時が多いが、まれには熱燗を頼んでいた。懐かしくいただいているうちに、きれいさっぱり無くなってしまった。お会計は3,500円ほど。昔より飲食の量は減っているが、値ごろ感は同じくらい。やっぱり値上がりしているのだろう。

 

 幸せな気分でお金を払い「20年振りだけど、美味しさは変わらないね」と、言わずもがなのことまでしゃべってしまった。店員さんの多くは、そんなころにはまだよちよち歩きだったろうに。

 

 さて、まだ来月も名古屋に来る用事は2件あります。今度は「懐かしい何?」を食べましょうかね。

「手羽喰いにいこうぜ」のお店(前編)

 日本はすっかり「With COVID-19」モードになっている。GW後、新規感染者はまた増えているのに、気分的には「そろそろ暑いから、マスクとろうぜ」となっている。2年間封印されていたことを、やってみようという話が増えてきた。今回は国交省の審議会の関係で、三重県自治体を訪ねることになった。

 

 何度か「インフラメンテナンス」の話を紹介しているが、高度成長期に作った物理的インフラ(道路・橋梁・トンネル等)も多く、その維持が自治体などの負担になってきている。僕もその審議会のメンバーとして、特に関係機関のDXやデジタル技術の適用などを提案しているのだが、実際に自治体の「現場」を見たことは少ない。

 

 国交省が視察ツアーを組んでくれたので、喜んで参加することにした。集合は伊勢鉄道鈴鹿駅。当日朝出ても間に合うのだが、前泊することにして故郷の尾張一宮に宿(ここでもAPA)を取った。

 

    

 

 熱海から名古屋まで<こだま号>で2時間、名古屋~尾張一宮間はJR快速で10分で着く。陽のあるうちにチェックインし、懐かしい街に出た。駅前の100m四方ほどのエリアがかつての中心街、昔の記憶では店舗がひしめきあっていたのだが、今は歯抜けとなって駐車場ばかりが目立つ。

 

    

 

 それでも古い店で残っているものもあった。シャッターは降りていたが、古書店はまだ営業していた。親父が会社帰りに職場仲間と入り浸っていた「日乃出寿し」は、まだ残っていた。昭和・・・というより戦後のまま時間が停まっているような店である。

 

 さすがにそこに入る気はせず、駅前に戻ってきて「風来坊」でディナーとしようと思う。名古屋名物はいろいろあるが、独特な食感・味覚を持つ「鶏手羽先の唐揚げ」もそのひとつ。地下鉄の終点近くに住んでいたときは、職場仲間と「手羽喰いにいこうぜ」が合言葉だった。名古屋コーチンが一杯飼育されていて、なかなか需要のない手羽先を美味く食べようとして開発されたのがこれ。ビールによく合った。

 

    

 

 東京にも支店がある2チェーンが有名。唐辛子が多めでよりピリ辛の「世界の山ちゃん」の方は入ったことがなく、もっぱら「風来坊」が僕らの「お座敷」だった。尾張一宮駅前にも、いつごろからか覚えていないが支店があった。

 

<続く>

クレマチスとバラが咲いた

 熱海の日差しはもう真夏並み、GWの間はプールで子供たちがはしゃぐ声が絶えなかった。何度か紹介したように、NINJA家のルーフバルコニーは家内のワンダーランド。15年前に引っ越してきた時は「熱海高山植物園」にすると、エーデルワイスなど買ってきたのだが強すぎる日差しに生き残れなかった。

 

 その後、遮光するなどいろいろな植物を試してみたものの、結局ドラゴンフルーツや、バラなどに落ち着いた。それでも作物もいくつか獲れるようになって、今はニラやキヌサヤが盛りだ。ちょっとしか獲れなくても、食卓に緑を添えてくれるのは嬉しい。今日覗いてみると、クレマチスが盛りだった。

 

        

 

 これらの株は一番日差しの少ないところに置いているから、元気に花を咲かせてくれる。バラも大輪の花を付け始めた。昨年横浜で購入した株が、ずいぶん大きくなった。ただずっと咲かせていると親木を傷めるというので、家内は花を切って室内の方々に飾っている。今年も「バラのある食卓」の時期になったということ。

 

        

 

 今夜は小田原で買ってきた<和牛>のステーキにしたい。薄っぺらいけれど、しっかりサシの入ったサーロイン肉。これをバットに置いて、左から、コショウ・ニンニクパウダー・塩を振りかけてしばらく馴染ませる。その後、クリステルのフライパンで短い時間焼くことになる。

 

 ステーキに合わせるのは当然<赤ワイン>、このハートラベルのワインは「COOP」で調達したもの。何週かに一度<うちのみマルシェ>という特集があり、なかなかいいワインが1,000円/本程度で手に入る。おかげで当家のワイン棚は、いつも充実している。

 

        

 

 さらにいい季節になってきたので、最初に呑むのはやっぱりビール。そこで食器棚から出してきたのが、ドイツ製の陶器のビアジョッキ。家内の父親がミュンヘンで買ったというもので、ちゃっかり貰ってしまった。ドイツ人、特に南の方の連中は、ぬるいビールをこういう陶器でゆっくり飲む。泡が無くならないように、真鍮製のフタが付いている。容量は300ml、缶ビール一缶分全部は入らない。

 

 バラの花を眺めながら、今夜はゆっくりビールから始めることにしますよ。おっと、その前にステーキ焼かないと・・・。

久しぶりの合同庁舎3号館

 霞ヶ関に来るのは、本当に久しぶり。最近総務省とはあまり縁がなく、経産省の会合は全部オンライン。経産省はデジタル庁を除けば、多分一番テレワーク率が高い印象で、会合には事務局の多くも合同庁舎以外から参加している。

 

 それに比べると、国交省はリアル会合好き。オンライン会議なのに座席表(PDF)が送られてきて驚いた。委員は全員がオンライン参加だが、事務局や省の幹部は合同庁舎のある部屋に集まっている。新規感染者は下げ止まっているが、雰囲気的には「With COVID-19」となり、今日の会合はハイブリッド型。少し仕事の負荷が減ったこともあって、出かけてみようかと思った。

 

    

 

 東京メトロ霞ヶ関駅で降りて、直結した合同庁舎2号館に入る。総務省掲示スクリーンには本日の会合の予定はない。奥に進んで3号館へ、指定された会議室は3階。執務室の奥の部屋を臨時のハイブリッド会議場に設定したらしい。委員の1/3がリアル参加、委員長以下2/3の委員はオンライン参加だ。

 

 会議冒頭、技監(省No.2、技術系TOP)の挨拶もリアル。いつものように、会議の本題に入る前に「執務のため中座」である。今日の会議はインフラの維持管理をどうするかというもの。議論が始まった直後に「笹子トンネル崩落事故」が起きて、注目度が増した。僕は途中から、デジタル等新技術を使ったインフラメンテナンス推進の役割で参加するようになっている。

 

    

 

 事務局から今年の方針が示され、各委員(主として土木・建築工学、経済学、社会科学等の教授陣)から意見が出された。面白かったのは「広域連携」の議論。各自治体の技術力・資金力に差があり、小規模自治体ではメンテに手が回らないのをどうするかという話。

 

 事務局からは「広域連携」との指針が出ているが「メンテ事業者から見ての広域と自治体側の考える広域がマッチしないのでは」との危惧や、「どのくらいの規模で広域か?少なくとも10万人規模にしないといけないのでは」という意見が出た。

 

 僕はサイバー空間では10万人でも小さすぎると思っているが、直接の異論ではなく「デジタル化にあたっては寡占を恐れないでくれ」と注文を付けた。地方中小事業者の配慮しその技術レベルに合わせるのは愚策、優れたソリューション提供者に○○地方全部を任せるくらいにしないといけないと言った。電子自治体に求められることと、同じですよね。

熱海土石流災害の原因究明

 先週も熱海には、相当な量の雨が降った。「はしり梅雨」の気配で、雨がちの日が続き、金曜日夜には豪雨となった。市役所の広報が「土石流の危険性」を訴えていて、昨夏の災害を思い出した。さらに土石流の原因となった違法盛り土をした業者を百条委員会が尋問していて、行政責任を検討していた第三者委員会が、静岡県熱海市の連携不足を指摘したうえで「断固とした措置を取らなかった」とする報告書を提出している。

 

「断固とした措置取らず」 行政の盛り土対応失敗―第三者委が最終報告・熱海土石流:時事ドットコム (jiji.com)

 

 県の担当者も市の担当者も、すでに10年以上前に現場の盛り土の問題については把握していた。しかし盛り土(というか残土廃棄)をしている事業者に対し、排水設備を設けるなどの安全措置を取るよう強制しなかったことが、今回の被害を招いたという主旨の報告だった。県も市も、ここまでの惨事は予想しなかったのが甘かったと言いたげでだ。国土庁出身の斉藤市長は「報告書の根拠となった資料に偏りがある」と反発している。

 

    

 

 表に出た報道はここまでだが、僕自身付き合いのある人達と会話していると、もう少し深い事情が聞こえてきた。まず、熱海市役所には土木技術者は一握りしかおらず、手が回らなかったのではないか。斉藤市長の前の市長が建設会社の社長で、長く市の仕事を受けてきた。市に土木技術者が少なくても(丸投げして)廻せていたが、新市長の公共事業改革で、その関係が崩れたようだ。

 

 このような案件については、市が前面に出るべきだが、県も十分な支援をしなくてはいけない。しかし、駿河遠江と違い「伊豆の国」は県庁とは距離があったのではないか。残土を捨てた事業者にしても、神奈川県より規制の緩い静岡県だから捨てに来たと思われる。県の規制意識も低かった。

 

 問題点を把握しながら、なぜ安全措置を強制できなかったかと言えば、やはり「闇の勢力」がからんでいたともいう。地元の人達も知っている人は知っていて、しかしその「勢力」を恐れて声を挙げられなかったらしい。

 

 ひとつひとつはありそうなこと、しかしそれが複合的に重なり合って、死者27人行方不明者1人の被害をもたらしたようです。これらの話、僕には確かめようもありませんが、原因究明はこれで終わりにせず、真実を明らかにして欲しいものです。