Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

F-35を墜とすには(前編)

 青森沖に墜落した航空自衛隊のF-35Aについて、いくつかの部品とパイロットの遺体の一部が見つかって、墜落原因はパイロットの健康問題(空間識失調)だとの結論が出た。巨大なGがかかる過酷な職業である戦闘機パイロットの年齢が41歳だったというのは、この業界でも人手不足が目立ってきたということではなかろうか。しかしこれでF-35というシステムそのものの欠陥ではなかったとして、航空自衛隊F-35の飛行を再開している。

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 言うまでもなく、米軍の最新鋭ステルス戦闘機F-35は、世界最強のはずである。似たような機体が、ロシアや中国でも開発されているが、実際に役にたつのかどうか疑問視する人もいる。以前から米軍が新鋭機を出すと、両国で外観が似たような機体がお披露目するのだが、やはり何らかの形で技術情報は漏れているのだろう。ロシアのSu-27は、F/A-18ホーネットのコピーなので、米海軍のトップガンが簡単にSu-27を操縦できたという噂も聞いたことがある。

 
 次世代の最強戦闘機F-35は米空軍、海兵隊に配備されているのはもちろん、イギリス、オーストラリア、イスラエル、韓国、オランダ、イタリア、日本、ノルウェー、トルコにも輸出されている。ところが昨年、イスラエル空軍の1機(F-35I)が、シリア軍のS-200形ミサイルで損傷したとの報道があった。
 
 なにしろS-200は、1965年頃のミサイル。誘導/自動ホーミング能力はあるにせよ、現代のステルス機を捕捉する能力があるとは思えない。低高度を飛んでいたのなら、弾幕に突っ込んでまぐれ当たりというのもあるかもしれないが、高高度を飛んでいてそれはなかろう。これに対しイスラエル軍は、バードストライク(飛行中に鳥がぶつかること)で損傷した機体はあったが、ミサイルで損傷したものではなく時期も異なると発表している。どちらかと言えば、この方が信ぴょう性がある。
 
<続く>

ソーシャルメディアの根本問題

 犯罪集団というのは、時々刻々姿を変える。いくつものダミー会社をつくり、隠れ蓑を変えながら悪事を続ける。まあ、ひとつの「事業継続計画」である。例えばさきごろ経団連サイバー攻撃したと指摘されたAPT10については、以前APT1と名付けられたチームが英米などからの圧力で活動を停止して後にあらわれていて、APT1のアセットがAPT10に流れたことが推測されている。

 
 国家レベルの深い関与があるAPT10ほどおおげさではなくても、多くの犯罪集団がインターネットを利用していることは疑いがない。これまで携帯電話などを使っていた振り込め詐欺グループなども、手口を改めてインターネットの世界に進出してくる。今年には、Googleマップを改ざんして振り込め詐欺に利用しようという手合いも現れた。
 
 Googleをはじめとするソーシャルメディアは、参加者みんなで作り上げていくものである。誰でも余暇にネット上に情報を加えることができる。その場の情報は、その場にいる人が一番詳しいのは当たり前。リアルタイム性の強い情報更新が可能になる。チェックの多くも「みんな」に頼っている面がある。「情報の更新」機能を使って銀行などの電話番号等の情報を一時的にせよ書換え、被害者をおびき寄せるのだという。

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 インターネットそのものが米軍だけのものからみんなのものになるにあたり、根本的にセキュリティへの懸念はあった。しかし「善意のみんな」が協力することでウィキペディアに代表される情報の宝庫が生まれたメリットが先行してどんどん利用が拡大する一方、影の部分についての対処は後回しにされてきた。かといって、中国のサイバーセキュリティ法制のように実名でないとインターネットを使えないというのでは、上記メリットが損なわれかねない。
 
 どんなものでも、その本質を理解して使い方を利用者側が考える必要はある。インターネットから得られる情報も、必ずしも正確ではないことは知って使うリテラシーが求められるわけだ。もちろん、こういう明確な犯罪に対しては、警察はじめ当局はしっかり対処をお願いしたいですがね。

画像処理技術の悪用

 昨年久しぶりに「ステガノグラフィー」という言葉を聞いた。あるデジタル情報を、別のデジタル情報に埋め込んで隠してしまう技術である。隠れ蓑に使うのは画像情報であることが多いが、音楽やテキスト情報も使えないわけではない。その事件では、米国国籍のある中国人技術者が、GEのガスタービン設計図などの機密情報を盗み、ステガノグラフィー技術を使って中国へメールなどで送ったという容疑である。夕陽の画像をよく使っていたらしい。

 
 中国のこの種の知的財産侵害疑惑は昔からあり、オバマ政権では中国軍人5人の名前と顔写真を公表し「サイバー攻撃により機密を盗んだ」として告発している。トランプ政権の対中国貿易戦争の一因にも、このような危惧がある。
 
 ほとんどのものがデジタル化されつつあり、その情報量は莫大なものだ。僕が学生の頃、研究室のミニコンの主記憶は8kB、記憶装置(今でいうハードディスク)は250kBくらいだったろうか。大学の電算センターに入った新鋭中型機の記憶装置が100MBと聞いて喜んだものだ。それが昨今のiPhone8では、最低64GBの記憶容量がある。
 
 このブログに載せている画像の容量は、1枚あたり2~4MB。昔の中型機なら30枚ほどしか格納できていない。このように大量のデータが身近にあるので、デジタルデータを隠すことも簡単になってきた。
 

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 例えば3MBの画像データがあるところに、100KBほどの文書データを混ぜてみよう。いずれも0か1のデジタルデータなので、ある種の法則に従って文書データを画像上に付け加えても、見た目に大きな差は出てこない。
 
 送信されたデータを誰かが検閲(!)したとしても、画像を見ただけでは不信は抱かない。受信した側は「ある種の法則」を知っているから、これに従って元々の画像データと文書データを分離できる。今回のケースでは、GEのガスタービンエンジンの設計図などが、そっくり受信した中国企業の手に入るというわけだ。
 
 大学でも社会人になってからも、多少縁のあった「画像処理技術」の世界ですが、こんな風に悪用されると気分はよくありませんね。

ハムラビ法典:ネットにはネットを

 外食チェーンのバックヤードなどで不衛生だったり不適切な動画を撮ってネットに流す、いわゆる「バイトテロ」はあとを絶たない。人件費をぎりぎりまで削減するために、現場はアルバイト任せになりブラック化するところも少なくないと見られる。以前「なか卯」で朝食を食べたとき、まるで戦場のような調理場の状況を見てうなってしまった。

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 有識者によると、特に若い人たちに不安や不満が渦巻いていてそれがこういう事件や児童虐待(DV)などにつながっているとのこと。不満・不安の原因は、結局のところ経済的な格差問題である。めちゃくちゃ大変な仕事をさせられているのに、お給料はこれっぽっち。ろくに働きもしない(ように見える)正社員は、高価な服を着て美食の店に通っている。やってらんねーよ、ということで不適切動画・・・という次第。

 今年被害にあった「大戸屋」の場合はすばやく「犯人」を特定、3名の従業員を解雇した上法的措置(損害賠償請求)も検討していると発表した。これまでにない毅然とした措置には敬意を表するが、ちょっと気になることもある。

 これまでにも似たようなことはあったらしいが、今度の事件どこからともなく「バイトテロリスト」の素性がネット上に流れてしまったようだ。拡散するインスタグラム動画と同様に、この手の情報が流れてしまえば回収はありえない。今回の「犯人たち」が一時のバイアスの掛かった思い(勢いともいう)でやったことが、彼らに一生付いて回るかもしれない。

 まさかとは思うが、不適切動画で被害を被った方がハムラビ法典に則って「目には目を、歯に歯を、ネットにはネットを」と復讐したわけではないだろうね。あるいは泣き寝入りだった企業に代わって、「晴らせぬ恨み晴らします」という「ネット上の仕掛人」でもいるのでしょうか。

突然街中にサル!

 熱海は海の町でもあるが実は山がちなので、時々妙なものに遭遇することがある。その極めつけが先日現れた。普通に駅からの道を歩いていると、歩道上に何か茶色のもこもこしたものが置いてある。近づいてみると、動いた!小型のニホンザルである。


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 特に通行人を気にする様子もなく、エサをねだるでもなく普通に座っている。首の周りに何かあるから、ペットとして飼われている子ザルのようだ。ふと周りを見ると、え!もう2匹。停めてあるバイクの座席にちょっと大型の猿、さらにその側にもう一匹の子ザルがいる。どうも2匹の子供連れのお母さんサルご一行のようだ。
 
 どこからきたのか、なにがしたいのかも分からないが、僕に危害を加える意図はなさそうだ。それはいいのだが、もしペットとして飼われているものなら「放し飼い」は勘弁してほしいと思う。

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 この街に住むようになって約18年になるが、数回サルを見かけたことがある。広めの庭のある邸宅には、果実のなる樹が植えられていることもある。今では住職がいるのかどうかも分からない寺にも、柑橘系の実がなる樹があった。
 
 もっと山奥に普段は住んでいて、山に食料が不足してくるとこういうものを食べに麓に降りて来ているのかもしれない。目の前の道路を掛け抜けたり、頭上の電線を渡っていくのを目撃したこともある。家内はキバを剥いて威嚇されたこともあるという。小型のニホンザルでも、かみついたり引っかいたりするし、何らかのウィルスをもっている可能性もあるので、近寄らせないことが重要である。
 
 でも今回のご一行はどう見ても「野生」じゃないですね。通行人も珍しがりながら迂回して通っていきます。それを気に掛けないで普通にしているほど、人に慣れているわけですから。飼い主の方、早く回収してくださいよ。人にケガさせないうちに。