Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ソーシャルメディアの根本問題

 犯罪集団というのは、時々刻々姿を変える。いくつものダミー会社をつくり、隠れ蓑を変えながら悪事を続ける。まあ、ひとつの「事業継続計画」である。例えばさきごろ経団連サイバー攻撃したと指摘されたAPT10については、以前APT1と名付けられたチームが英米などからの圧力で活動を停止して後にあらわれていて、APT1のアセットがAPT10に流れたことが推測されている。

 
 国家レベルの深い関与があるAPT10ほどおおげさではなくても、多くの犯罪集団がインターネットを利用していることは疑いがない。これまで携帯電話などを使っていた振り込め詐欺グループなども、手口を改めてインターネットの世界に進出してくる。今年には、Googleマップを改ざんして振り込め詐欺に利用しようという手合いも現れた。
 
 Googleをはじめとするソーシャルメディアは、参加者みんなで作り上げていくものである。誰でも余暇にネット上に情報を加えることができる。その場の情報は、その場にいる人が一番詳しいのは当たり前。リアルタイム性の強い情報更新が可能になる。チェックの多くも「みんな」に頼っている面がある。「情報の更新」機能を使って銀行などの電話番号等の情報を一時的にせよ書換え、被害者をおびき寄せるのだという。

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 インターネットそのものが米軍だけのものからみんなのものになるにあたり、根本的にセキュリティへの懸念はあった。しかし「善意のみんな」が協力することでウィキペディアに代表される情報の宝庫が生まれたメリットが先行してどんどん利用が拡大する一方、影の部分についての対処は後回しにされてきた。かといって、中国のサイバーセキュリティ法制のように実名でないとインターネットを使えないというのでは、上記メリットが損なわれかねない。
 
 どんなものでも、その本質を理解して使い方を利用者側が考える必要はある。インターネットから得られる情報も、必ずしも正確ではないことは知って使うリテラシーが求められるわけだ。もちろん、こういう明確な犯罪に対しては、警察はじめ当局はしっかり対処をお願いしたいですがね。