Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

IT基本法の改正に向けて

 先日「ニューノーマル時代のITの活用に関する懇談会」の活動についてコメントしたが、この懇談会のスピード感は素晴らしくて、早くも中間論点整理が出てきた。この「中間・・・」というのは全くの官僚用語で、事実上の最終報告案に近いものだ。この手のオピニオンを出すには方々に根回しが必要なので、根回しに回る時「俺に挨拶がない」と怒られないように「中間・・・」とぼかしているに過ぎない。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/07/02/140000

 

 でコメントしたように「誰もが取り残されない」という大原則を残したまま、より具体的な政策(とそれに伴う予算)について記述されている。

 

DX競争を戦うための新デジタルインフラ(情報社会資本)

DX格差を防ぐためのデジタルミニマム(情報社会保障

・政府部門が先導するDX

 

 の3項目が挙がっている。そしてそれらを支えるために、IT基本法の改正が必要だとある。IT基本法って懐かしい響きだと、改めて思った。この法律の制定は2001年、僕がこのデジタル政策に首を突っ込んだのが2002年だった。正式名称を「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」という。それまで個別だったデジタル関連政策全体の理念や重点計画を定めていた。その法律が20年ほど改正されずに来たというのも、問題かもしれない。

 

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 2001年当時は、高速インターネット(ブロードバンド)の普及を促進して、軒先まで光ファイバを挽いてくることが一丁目一番地だった。しかしその後無線を含めて第四世代通信(4G)はほぼ日本中に行きわたった。

 

 次はそれをすべての市民が使えるようにすべきだというのが「デジタルミニマム」の意味。以前、オンラインアクセス権は基本的人権になったと言い、本人認証スキームの確立は人権保護のためにも必要だと述べた。だからIT基本法改正にあたっては、次の3点を盛り込んでほしいと思う。

 

・全市民がオンラインにアクセスできる環境の整備

・デジタル社会における本人認証スキームの確立

・全市民が利用者教育を受ける機会を保証

 

 これまで述べてこなかったけれど「教育機会の保証」は、「デジタルミニマム」の達成に必須の要因であることは明白ですから。