Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

産業界の大学改革提案

 中央公論4月号の特集は「文系と理系がなくなる日」、もちろん「その境目が」無くなると言うことだ。僕が高校生だったころ、2年生の最後に文理振り分けの儀式があった。そもそも女子の比率が少ない高校で、大半の女子は文系に行くから理系クラス5つ、文系クラス4つのうち理系の3クラスはむくつけき男ばかり40人余の構成になってしまう。迷った末に理系を選んだ僕は、運悪く男ばかりのクラスに振り分けられ、暗い1年を過ごした。

 閑話休題中央公論にはこれからの大学教育は文理融合、全ての大学生にリベラルアーツ(基礎教養)として、微積分・線形代数・統計・情報科学・論理学・哲学・歴史などを身に付けさせなくてはならないとの主張が盛込まれている。あまり例の無いことらしいが、経団連の提言が引用されている。通常、メディアは大企業の集まりであるこの団体をけなしこそすれ、主張に賛同するなどは信じられないことである。

 主張ポイントは、すっかり経団連の目標となった「Society5.0」実現のための人材として上記の基礎教養を持つことを求めている。「Society5.0」はあらゆるものがデジタルで結び付けられ、AI(人工知能)でIoT(モノのインターネット)から入ってくる情報を分析するので効率化し新しい付加価値も生まれる一方、単純労働や準単純労働の雇用は失われ、失業者が街にあふれるリスクもはらんでいる。

 

 企業も同じで、これに乗り遅れれば倒産・廃業に至りかねないし、それを防げるのはやはり次世代・次々世代の人材というわけだ。前回日本電産の永守CEOの発言を取り上げたがこれも同じで、経団連という産業界のニーズからの大学改革への提言といってよかろう。

    f:id:nicky-akira:20190418182017j:plain


 これを今は定年になっている高校の同級生たちが聞いたら、どう応えるだろうか。理系の彼は「人と話すのが苦手だから技術者を目指したのに、論理学学んでディベートなんてとんでもない」というだろうし、文系の彼女は「数学なんて辛気臭いの付き合いたくない。微分なんて、微(かす)かにもわかんないわよ」と突き放されてしまうだろう。まあ、逃げ切った・・・とほくそ笑んでいるヤツもいるに違いないだろうね。