Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

民間のテレワーク

 先日「公務員のテレワーク」として、いったん始めたテレワークを公務員の70%が止めていたというレポートを取り上げた。大体テレワーク制度がない部署が50%もあるのだから致し方ない。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/10/26/140000

 

 今回、そのテレワークから見放された某省から、民間のテレワークについてこの夏に実態調査をしたという連絡を貰った。約30,000社に調査票を送り(物理的・電子的の比率不明)5,433社から回答を得た。うちテレワーク実施企業は1,569社だったという。回答企業の約70%はテレワークをしていない。しかし仮に母集団を全調査企業とすると、テレワーク実施企業は5%余りしかいないことになる。回答企業の導入状況は、

 

「COVID-19」以前から導入していた 6.6%

「COVID-19」によって導入した 22.3%

今後導入する予定 8.4%

導入予定もない 62.7%

 

 となっている。従業員規模別では、従業員数と導入率には綺麗な相関が見られた。新政権の「成長戦略会議」のメンバー、デービッド・アトキンソン氏は「中小企業は小さいこと自体が問題、大きくなれない中小企業には消えてもらう」との持論を持っていて、野党や一部メディアから「危険人物」と目されている。

 

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 僕は彼の主張に全面的に賛成するわけでもないが、少なくともDXに関しては企業規模と成功確率は比例すると思う。この調査でも、テレワーク導入済みと答えた企業の21%にセキュリティの担当者がいない。いても、56%が他の業務と兼務なのだ。43%の企業がテレワークの課題として「セキュリティの確保」を挙げているのに、対応体制は十分ではないことがわかる。

 

 社内でWindowsの旧バージョン(XPや7)がまだ動いているという企業も、12%ほどあった。分かっていながら更新できないのは人材がいない可能性が強い。現実問題として、従業員50人未満の一般企業(ネット企業等は除く)でIT部門を整備しセキュリティ専任者を置くのは不可能だ。

 

 世の中では、DXに乗り遅れたら死ぬとの声も聞こえ始めた。DX with Securityを実践するためには、より大きな組織にならないと難しい面があります。アトキンソン氏の指摘もそのようにとらえて、前向きなM&Aなど考えていただければと思います。