Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際協力銀行調査部(後編)

 僕のオフィスに来ていただいたのは、調査部長さんと先日英国大使館でご一緒した女性研究者。まず国際協力銀行の紹介をしてもらって、その中でも調査部というのは比較的新しい部署だと教えてもらった。もちろん市中銀行だって本来は「情報産業」、国際的な活動をするこの組織に調査能力がないはずはない。しかし独立して「調査部」としたのは、世界の情勢変化が著しくなった昨今だとのこと。活動の例として、2019年度・製造業の海外事業展開に関する調査報告を見せてもらった。そこには、

 

・海外事業は不透明な情勢での模索が続く

・有望国調査ではインドが首位。中国の2位転落がアジア各国に再評価の機会をもたらしている

・米中摩擦の影響が広がる中、日本企業は両国との共存の道を模索している

イノベーション(企業・事業)は海外展開への期待を高めており、とりわけ上海に注目が集まっている

・今後は技術の探求力と課題解決を提案する訴求力、それを支える組織力が海外で試される

 

 とあった。製造業に限らず、海外を目指す全ての企業の意見として妥当なものだと思う。

 

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 僕の方からは、このブログで書いているようなことを事例を交えながら説明した。つまり、

 

・サイバーセキュリティ部門は日陰部署、うまくいって当たり前、何かあれば怒られる

・要員の評価や処遇も十分ではなく、キャリアパスもはっきりしていなかった

・リスクは確実に高まるのに予算増額を申し出ても、財務本部長は「一律5%カット」という

・これを打開するには経営者自身の意識改革が重要、サイバー攻撃は経営リスクだと認識すべき

 

 として、経団連が「サイバーセキュリティ経営宣言」を出し、取締役向けの「サイバーリスクハンドブック」を翻訳出版したことを紹介した。ただ、悪意を持った攻撃というのは自然災害よりタチが悪いこと、イノベーションによる成長をしようとすればデジタル依存は高まりサイバーリスクは増す一方であることも付け加えた。

 

 今後も意見交換しましょうと言ってもらえたので、僕としても海外からの攻撃の備えたインテリジェンスの一環として同行の情報に期待しますといってお見送りした。こういうネットワークを広げていくことは重要だと思います。