Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際協力銀行調査部(前編)

 先日、英国大使館でのサイバーセキュリティ専門家を交えたランチ会合があったことは紹介した。英国政府内やMI-6所属の機関などの人がいて勉強になったのだが、一方日本の参加者からも貴重な意見を聞くことができた。例えば国際協力銀行JBIC)の人がいて、JBICでは地政学的リスクを調査しているのだが最近サイバーリスクもその中に含めて研究しているとのことだった。

 

 今回、その時の参加者が上司である調査部長と一緒に僕のオフィスにおいでになった。上記のような事情でサイバーリスクを研究し始め、いろいろな人から意見を聞いているとのこと。産業界からの意見を聞く、何番目かに僕の順番が来たということだろう。国際協力銀行という組織は、アクアライン関西空港といった巨大プロジェクトを手掛ける団体に出入りしていた時に、少しお付き合いした。

 

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 1950年に「日本輸出入銀行」として発足し、2008年に株式会社日本政策金融公庫となるまでは、銀行と言いながら政府機関であった。2012年に現在の国際協力銀行という組織になったのだが、全株式は日本政府が保有している。そのミッションは、

 

 ・海外資源の開発及び取得の促進

 ・産業の国際競争力の維持・向上

 ・地球環境の保全を目的とした海外事業の促進

 ・国際金融秩序の混乱防止と被害への対処

 

 の4点である。なるほど、サイバーリスクは2点目と4点目の中のテーマなのだと理解した。

 

 仮想通貨が盗まれたり、FinTech企業が狙われるだけではなく、数年前には国際金融の基幹システムであるSWIFTに侵入されて、バングラデッシュ中央銀行から90億円余り(実際はもっと高額ともいわれている)が盗まれた事件もあった。

 

 昨今金融市場の事件は報じられることが少ないが、実被害は間違いなく増えているはずだ。普通に被害があるので特に報道されないだけだと、僕は思っている。加えて、中国が「デジタル人民元」を検討し始め、日本政府も「デジタル円」を考えるようになっているから、リスクはますます高まる。

 

<続く>