Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

諮問機関のはずなのに(後編)

 普通なら定時総会で来年度の管理会社やその管理委託料・管理業務内容を決議するのだが、通常総会を待てないくらい急いだのだろう。理事長代行を務める副理事長の名前で臨時総会が招集され、行ってみると新しい管理会社による「重要事項説明会」が始まってしまった。

 

 続いて理事会から議題の説明があり、現管理会社の不備なところがいくつか示された。中には「まさか」と思うようなものも、事実かどうか確かめようもないものもあった。前理事長や現管理会社は、この臨時総会に出席していない。僕や何人かの住民が彼らの意見を聴きたいと求め、性急すぎる臨時総会に待ったをかけようとしたが強引に採決に持ち込まれてしまった。

 

 そうなれば2/3の住戸がリゾート物件で定住者のいないマンションゆえ、大量の委任状が手元にある理事会の思うままである。体制を整備した理事会と「温泉委員会」は、世界一の温泉を目標にした研究・実験を始める。まずやろうとしたのは「かけ流し」でだった。住民にほとんど内容が知らされないまま、温泉の改造が進み始めた。

 

 しかしその強引なやり方に、僕ら以外の住民も徐々に批判を強めていって、ついに理事会は総辞職。次期理事会にすべてが託されることになった。その中に僕も選ばれて理事になり、前理事長や前の管理会社、温泉管理を委託していた事業者などから話を聞いて一体何が起きていたのか調べた。

 

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 すると、副理事長ともう一人の住人が「温泉委員会」の名前で専横をしていた実態が明らかになってきた。前理事長は意思に反して解任されたと言い、前管理会社は「温泉委員会」に異を唱えたので遠ざけられたと言う。温泉の委託先の事業者は、

 

 ・見積りなどは温泉委員会さんにお出ししました。

 ・作業にあたっては温泉委員会さんの管理・監督下で行いました。

 ・この実験は温泉委員会さんの指示で行い、報告もそちらにしています。

 

 と、ある意味平然と言っていた。「温泉委員会」は諮問委員会のはずが、いつの間にか理事会をさしおいて執行機関になっていた。さすがに管理会社はその問題点を指摘したのだろうが、温泉委託先事業者の人は純真なエンジニア、お客様に指示されたとおりに働いていたわけだ。

 

 僕らのマンションにとって、源泉や温泉設備は大変ありがたいものです。でもそれゆえに、油断をすると何かがこびりついてくることもあります。いい経験でした。