Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

台湾工業技術研究院がやってきた

 台湾でサイバーセキュリティ熱が高まっているが、そのきっかけは昨年8月の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)がサイバー攻撃で3日間の操業停止に追い込まれた事件である。損害額は、約190億円に上ったという。攻撃は、急激に関係が悪化している海峡の対岸から来たとの見方が有力だ。日本だけでなく世界中の電子機器を製造している企業は、肝を冷やしたはずだ。

 

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 台湾には日本の「産総研」にあたる組織「ITRI(工業技術研究院)」があって、そこにサイバーセキュリティ強化の組織ができていた。この組織は春には「2019 Next Cyber TAIWAN」というイベントを開催して、内外にアピールした。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/05/29/140000

 

 その彼らが、今回は日本にやってきて丸一日のイベントを実施した。日本のカウンターパートであるシンクタンクと共同で、日台の企業同士が議論できる場を用意したのだ。開催場所は、赤坂8丁目の「アジア会館」。

 

 サイバー脅威に関しては、国境は全く関係ない。日本政府は台湾という地域と国交がないので及び腰になるのだが、日本の産業界にとって無視できるわけではない。そこでITRIは民間シンクタンク経由でのコンタクトをしたし、日本企業も新しい連携を期待してるようだ。2つの討議テーマに集まったのは40人ほど、日本人と台湾人の外観上の違いはないので、どのくらいの比率なのかはわからない。

 

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 まず、台湾と日本のサイバー脅威に関する状況の紹介が行われた。これはエール交換のようなものだが、その後に2つのテーマで議論になった。

 

★国際金融

 バングラディッシュ中央銀行から90億円以上の不正送金があったことも含め、国際金融をどうしていくべきか。仮想通貨などの新規技術をもって参入する新規事業者をどうするか。

 

★製造業のサプライチェーン

 前記事案を含め半導体を例に、サプライチェーンをどう守るかの議論があった。しかし台湾の半導体事業者を中心に、日本の半導体製造装置事業者へのクレームがあって満足な議論に進まなかった。

 

 日台同時通訳があったこの会合、通訳ミスもあったかもしれないのだが、日台産業界が理解し合うためにはもう少し時間がかかるでしょうね。